〔為替感応度・ハイテク関連〕想定為替レート、円安方向に修正=業績上振れ要因にも
2023年11月16日 11時15分
電機大手、半導体製造装置、電子部品などハイテク関連企業の2023年9月中間決算が出そろい、24年3月期の想定為替レートの修正値が明らかになった。時事通信社が主要社を対象に調べたところ、対ドルで140~145円に設定され、期初段階の125~135円から10円超円安方向に修正された。大半の企業は2024年3月期の営業減益を予想しているが、円安は業績を押し上げるとみているところが多く、現在の相場水準が続けば業績が上振れしそうだ。
具体的には、対ドルで期末の想定レートを示した34社中、日立〈6501〉、三菱電〈6503〉、NEC〈6701〉、信越化〈4063〉など12社が1ドル=140円に設定した。最も円高水準だったのはニデック〈6594〉の120円で、期初段階から修正しなかった。一方、最も円安の145円としたのが、エプソン〈6724〉、オリンパス〈7733〉、SUMCO〈3436〉(12月期決算)で、期初段階(エプソン129円、オリンパス132円、SUMCO133円60銭)から10円以上円安方向に修正した。また、125円としたレーザーテック〈6920〉は「決算期が6月期なので、今回は想定レートを修正していない。第2四半期決算発表時には修正する可能性がある」(広報部)と話している。
為替相場の変動による業績への影響度を示す感応度を見ると、対ドルで1円の円安による年間の営業利益の押し上げ効果は村田製〈6981〉で50億円(想定レート・1ドル=143円)、日東電工〈6988〉で30~35億円(同139円70銭)、ダイキン〈6367〉で22億円(同138円)などとなっている。
ソニーG〈6758〉は対ドルで1円の円安が営業利益を5億円押し下げる要因になるが、対ユーロでは1円の円安で80億円の増益要因になるとしている。一方、東エレク〈8035〉は取引の大半が円建てのため、為替の影響は受けないという。(了)