〔深読み米国株〕◎ダウもハイテク指数色=史上最高値に接近中
2023年11月17日 20時10分
米国では雇用や物価指標の伸び率が鈍化したことを受けてインフレ沈静化観測が強まっている。連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ局面を終えたとの見方から10年物国債利回りが低下すると、ハイテク関連銘柄がさっそく上昇基調を強めている。足元の市場では、ダウ工業株30種平均でもハイテク株の影響が着実に大きくなっている。
ダウは主要30銘柄で構成する。日経平均株価と同様に株価の単純平均を基に算出するため、企業規模や利益水準と影響度は一致しないが、1896年5月算出開始と継続性があり、算出も簡便なため、米国市場の動向を映す指標として世界中に浸透している。
11月16日のダウ終値は3万4945.47ドルと、節目の3万5000ドルに肉薄した。あと5.7%高で、2022年1月5日に付けた史上最高値3万6952.65ドルに並ぶ。今後、長期金利が低下基調をたどれば、金利低下を好感しやすいICT(情報通信・技術)関連銘柄の値上がりが予想され、ダウもその恩恵にあずかることになりそうだ。
では、ICT銘柄の上昇はダウにどれほど影響するのか。そこで、ダウに占めるICT(情報通信・技術)関連銘柄の影響度を調べてみた。
ダウ採用企業では、スリーエム(MMM)が電子材料を生産するなどICT産業の裾野は広いが、次の7銘柄を便宜的に「ダウICT銘柄」とした。11月16日時点のダウ構成比の順位を示すと、下記のようになる。( )内は昨年末の順位。
・2位( 6位) マイクロソフト(MS)
・9位(19位) セールスフォース・ドットコム(CRM)
・12位(20位) アップル(AAPL)
・16位(17位) IBM(IBM)
・27位(27位) シスコシステムズ(CSCO)
・28位(30位) インテル(INTC)
・29位(28位) ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)
マイクロソフト、セールスフォース、アップルの躍進が目に付く。7銘柄合計の構成比は20%と、昨年末の15%から上昇している。
1位は直近も昨年末も医療保険・ヘルスケアのユナイテッドヘルス・グループ(UNH)。構成比は10%台で変わらない。
石油・ガス大手のシェブロン(CVX)が12位から20位、日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)が13位から19位と後退している。高金利によるエネルギー需要減退や日用品販売の減速を織り込む形だ。(編集委員・伊藤幸二)(了)