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〔深読み米国株〕◎株価反転の兆候か…米テック大手決算、目下3勝2敗

2023年10月27日 19時10分

AFP=時事AFP=時事

 10月26日時点でナスダック総合指数は今年最高値から12.8%、S&P500指数は10.2%それぞれ下落した。それでも昨年末比ではナスダック総合指数が20.3%高、S&P500が7.8%高とプラスを保っており、利益確定売りか買い増しか、投資家にとって判断が難しい水準にある。一方、株価が反転に向かう兆候も表れてきた。

 株価は1株当たり利益(EPS)と株価収益率(PER)の掛け算に分解できる。EPSは業績拡大や自社株買いによる株式数の減少で増え、PERは金利低下で高まる。直近の相場では、EPSは底堅く推移する一方で、金利上昇がPERを押し下げた結果、株価が下落している。企業業績とインフレがせめぎ合い、インフレが勝ってしまったとも言える。

 ただ、同じ相場環境がいつまでも続くものではない。

 10月26日付「バロンズ・ダイジェスト」は「米国債利回りピークアウトか、要検討の4セクター」と題する記事を掲載。米10年物国債の利回りは一時5%を超えたが、セントルイス連銀のデータでは、今後10年に見込まれる平均インフレ率を約2.5%上回っていることを挙げ、利回りが低下に向かう可能性を指摘している。特にハイテク株が10年債利回りと逆相関が最も強いことを紹介している。

 一方、EPSの基となる企業業績は、10月以降に決算発表を済ませたメタ・プラットフォームズ(META)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、インテル(INTC)はいずれも好業績だった。半面、テスラ(TSLA)とアルファベット(GOOGL)は低調に終わり、今のところ3勝2敗だ。

 11月に入ると、2日にアップル(APPL)が、21日にエヌビディア(NVDA)が決算発表に臨む。両社とも好決算ならテック大手企業7社では5勝2敗ということになり、株価は業績に見合った水準に居場所を変えていくだろう。

 金利低下によるPER上昇と、ハイテク企業を中心としたEPS増加の掛け算が実現すれば、ナスダック総合指数やS&P500はこの先、値戻しに向かうことになる。(編集委員・伊藤幸二)(了)

 

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