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〔証券情報〕若年層の投資意識に地域格差=金融スキマ世代、身近な情報の存在カギ

2023年10月27日 14時02分

時事時事

 「金融スキマ世代」の投資意識は大都市圏と地方でギャップが大きい―。フィンテック企業のスマートプラス(東京)などが実施した若年層の社会人を対象とするアンケートで、こんな実態が浮き彫りになった。同じ年齢層でも、居住地域によって、身近に得られる投資関連の情報に格差があることが背景のようだ。
◇超低金利時代しか体験なく

 「金融スキマ世代」は金融界の一部で浸透した言葉で、長引くデフレと2008年のリーマン・ショック後の超低金利の中で社会人生活の大半を送り、学校で金融教育を受ける機会もなかった現在の20~30代を指す。

 資産形成に関しては、高校でも金融教育が22年度から開始。岸田政権による「資産所得倍増プラン」に沿って24年からNISA(少額投資非課税制度)が新制度へと大幅拡充されるの受け、「若年層の間で投資への意識が高まっている」と言われることが多い。

 しかし、20~30代は基礎的な金融知識が乏しく、資産運用に消極的な人も少なくない。

 市場関係者によると、例えば、投資に積極的な人は20年の新型コロナウイルス禍の拡大に伴い、株価がいったん急落した後に反騰して成功体験を得た人が多い半面、そもそも投資に消極的だったため、株価下落時の「買い場」を逃してしまったと考えられる人も依然、相当数に上るという。
◇NISA利用、東京の半分の県も

 調査では、NISAを利用したことがある人の割合は、東京都が61.2%と、全国平均の43.8%を大きく上回る。愛知県は51.9%、長野県は44.9%、和歌山県は37.9%などで、最も低い大分県は30.6%と東京都の半分に過ぎなかった。調査担当者は「大都市圏はインターネット系金融機関の利用が進んでおり、オンラインを通じて多様なサービスに触れる機会が身近に多いことから取引のハードルも低くなりやすいが、地方銀行の存在感が圧倒的に高い地域では、そうした情報を得る機会が少ないことも背景では」と分析する。

 一方、投資に関し「経験はないが関心がある」と回答した人の割合は全国平均で43.7%。経験済みとの合計では8割を超え、関心自体は多いことが分かる。調査担当者は「NISAに関心がある人でも、自分が何歳の時に始めるかなどを具体的にイメージできていないようだ」と指摘する。

 調査担当者は、「地銀の存在感が高い地域でも、オンラインと対面のハイブリッドを望んでいる人が多い」と説明。地域差も踏まえ、関心ある人に実際に投資を促すためには、「地方で金融機関などが対面のサービスを提供しつつ、的確なタイミングでニーズに見合う投資情報をオンライン上で提供できればいいのでは」と話した。

 調査はスマートプラスのほか、不動産テック企業のGAテクノロジーズ<3491>、資産運用会社のニッセイアセットマネジメント(東京)が2023年9月13日~9月19日、学生を除く全国の20~30代の男女6778人を対象にネットで行った。(了)

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