〔深読み米国株〕◎巨大ハイテク銘柄、反転のヒントは日本にあり?
2023年10月06日 19時27分
米国市場で圧倒的な存在感を持つ巨大ハイテク銘柄の株価が下落している。インフレ長期化を背景とする金利上昇がグロース(成長)銘柄の株価収益率(PER)を押し下げているためだ。ただ、中長期的には大型ハイテク銘柄の下落局面を買い場とみる雰囲気は強い。投資家は売り材料よりも株価が反転に向かうヒントを探す局面かも知れない。
ナスダック100指数の10月5日終値は1万4723.22と、9月1日の直近高値を5.7%下回っている。MSCIが半導体メーカーに分類する52社のうち9月に下落を回避できたのはインテル(INTC)だけだった。
米国株情報を日本語で伝える「バロンズ・ダイジェスト」は10月2日、「9月失速の半導体株、ウォール街はまだ楽観」とする記事を掲載した。同記事はエヌビディアをカバーするアナリスト54人の目標株価が480~1606ドルであることを紹介している。10月5日終値は446.88ドルなので、エヌビディアがさらに下落していくと予想するアナリストはいないことになる。
10月6日掲載記事の「下落したハイテク株は『絶対に買い』」では、エヌビディア、アップル(APPL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン・ドット・コム(AMZON)、テスラ(TSLA)が今年最高値から9~14%下落したことを紹介。株価は利上げ長期化を織り込み、利回り上昇が緩やかになるだけでも株価の追い風になり、10年物国債の利回りが今後2カ月で横ばいから0.5%上昇すれば、大型ハイテク銘柄がS&P500採用の他銘柄を2~3ポイントほどアウトパフォームするとの金融大手ゴールドマン・サックスの予想を取り上げている。
今のところ、投資家はハイテク銘柄の反転シナリオを信用できないようだ。端的な例が東証プライム市場に上場するディスコ株だろう。
同社は半導体向け切断・研磨装置などで世界シェア首位で、半導体セクターの先行指標株でもある。時価総額は約3兆円と大きく、「会社四季報」によると外国人株主比率は4割を超え、米国半導体株にも少なからぬ影響がある。
10月5日は前日に開示した7~9月期の売上高(速報値)が前の四半期(4~6月期)に比べ38.4%増と、4~6月期の34.1%減から急反転したことを手掛かりに一時2.2%高と上昇し、1.5%安で取引を終えた。株価が上がった場面で売りたい投資家は多いが、半導体業界の復調を読み取って株価を押し上げる投資家も少なからずいることが確認された。売り一辺倒から売り買い拮抗へ需給バランスは改善しつつあるようだ。(編集委員・伊藤幸二)(了)