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暗号資産、日本市場に世界が注目=千野バイナンスジャパン代表

2023年10月06日 10時08分

インタビューに応じたバイナンスジャパンの千野剛司代表 (バイナンスジャパン提供)インタビューに応じたバイナンスジャパンの千野剛司代表
(バイナンスジャパン提供)

 暗号資産(仮想通貨)交換業大手バイナンスの日本法人バイナンスジャパン(東京)が、国内事業を立ち上げてから2カ月が経過した。千野剛司代表は、時事通信社のインタビューに応じ、「ルール整備が進んだ日本市場は今、世界中から注目されている。法律にのっとって、着実に成長を図りたい」と抱負を述べた。

 ―本体のバイナンス・グローバルについて。

 利用者は1億5000万人以上、日本を始め、18カ国でライセンスを取得している世界最大の暗号資産取引所だ。日本では、2022年11月に同業のサクラエクスチェンジビットコインを買収し、この8月にサービスを開始した。

 ―この2カ月間の評価は。

 口座数は順調に増え、注目の高さを感じている。できるだけ早く、取り扱い通貨数を100種類まで増やし、顧客の利便性をさらに高めていく。

 顧客のためのコミュニティー作りや、日本発の新興企業が発行する暗号資産の取り扱いなどを通じ、利用者や企業の成長を後押ししたい。

 ―日本の市場環境は。

 海外市場は縮小し、相場も低迷気味だ。対照的に、日本は政府が推進する次世代インターネットWeb3(ウェブスリー)活用の波に乗り、既存金融や事業法人と暗号資産業界の融合が進んでいる。これは世界的にも特殊なケースだ。

 暗号資産やデジタル証券などに関する規制やルールを、日本が世界に先駆けて整備してきたことが奏功している。昨年11月にFTXトレーディングが経営破綻した際も、「日本法人は投資家保護が機能した」と評価され、世界から注目された。

 日本の暗号資産業界は、14年のマウントゴックス破綻をきっかけに規制が導入され、17年ごろから地盤沈下が進んだ。遅ればせながら、世界はいま、ルールの整備に取り組んでいる。先行する日本は、再び世界にその存在感を示すチャンスが訪れている。当社はこの追い風をしっかりつかみ、事業を推し進めたい。

 ◇既存金融との融合に注力

 ―9月には、三菱UFJ信託銀行などが立ち上げたデジタル資産取引のインフラ会社「プログマ」との提携を発表した。今後の目標は。

 日本は銀行や証券といった既存の金融がしっかり根付いている。暗号資産をそれらの対立軸に置くのではなく、融合を図っていくことが大事だ。プログマとの提携は、その通過点。多様なプレーヤーと協力、連携しながら、デジタル資産や暗号資産を盛り上げていきたい。

 ―金融庁から過去に2度、未登録で営業活動する海外業者として警告を受けた。

 非常に重く受け止めている。過去をどう払拭(ふっしょく)し、信用と信頼をつかんでいくかが課題だ。

 こうした課題をクリアするため、われわれの高いWeb3技術を、地方自治体や観光地などへ提供し、人口減少や財政難の解決などに役立ててもらうことを考えている。そうした領域に力を入れている暗号資産交換業者は少ない。日本社会からの信頼を地道に築いていくことが大切だと考えている。

 ◇米規制当局の現物暗号資産ETF、上場認可に期待

 ―海外の情勢をどうみるか。

 注目しているのは、米証券取引委員会(SEC)の暗号資産ETF(上場投資信託)についての判断。米国では「先物」を裏付けとする暗号資産ETFの上場例はあるが、「現物」を裏付けとするものは、まだ認められていない。現在、世界最大の資産運用会社ブラックロックのほか、数社が現物型の上場準備を進めている。SECがこれらを認めれば、暗号資産市場は活性化し、既存金融との融合も加速すると期待している。(了)

 

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