鈴木財務・金融相閣議後会見詳報(14日)
2023年07月14日 12時59分
(午前11時2分~11時12分、財務省会見室)
7月17日、そして18日にインドのガンディーナガルで開催されますG20財務大臣・中央銀行総裁会議に出席するため、あしたから海外出張をいたします。この機会に私と植田日銀総裁が議長を務めておりますG7財務大臣・中央銀行総裁会議を、7月16日に開催する予定です。この会議ではウクライナ支援、MDBs改革、国際課税等について議論する予定です。なお、今回は成果文書を発出する予定はありませんが、昨今の世界を取り巻く課題の解決に向けてしっかりと議論をリードしてまいりたいと考えております。
冒頭、私からは以上です。
Q、冒頭発言に関連して1点伺う。G20、G7も開かれるということだが、まず、G20の議題およびG7に関しては広島サミット後初の会合で、ウクライナ支援等々は広島サミットでも打ち出されたが、その具体化に向けてどういう位置付けの会議になるか大臣のご所見をお願いしたい。
A、まず、G20についてでありますが、議長国はインドでありまして、インドからアジェンダといたしまして世界経済、国際保健、サステナブルファイナンス、インフラ、国際金融アーキテクチャ、国際課税、金融セクター、金融包摂といった世界経済の諸課題について議論する予定である旨が示されております。こうした分野は、従来からG20が重視してきた分野でありますし、日本が議長を務めるG7でも積極的に議論を進めてきているところであります。今回のG20会合でも、これらの分野につきまして、引き続き積極的に議論に参加して国際協力の強化に努めてまいります。
G7の主要なテーマにつきましては、先ほど申し上げました通りウクライナ支援、MDBs改革、国際課税等について議論する予定です。G7議長国として各国と率直な意見交換を行いまして、さまざまな国際的課題へ対応するための議論を積極的に主導してまいりたいと思っております。広島で行われましたG7のサミットにおきましても、例えばウクライナ支援などは主要なテーマであったと思います。こうしたことについても財務トラックでどういう財政的な支援ができるのか等も含めまして、議論を深めていきたいと思っております。
Q、先日、OECDから国際課税、デジタル課税のルールに関して取りまとめたことが発表された。これに関する大臣の受け止めと、今後課題があるとすればどのようなものだと考えるか。
A、OECD/G20のBEPS包括的枠組み総会、これで声明が出されたわけでありますが、この声明は、これまでG20議長総括、G7コミュニケ等を踏まえてBEPS包摂的枠組みが2本の柱に関するこれまでの交渉の重要な成果、これをパッケージとして公表したものでありまして、歓迎をしているところであります。このたび条約として、条約が実質的に取りまとめられた第1の柱の多国間条約は、多国間で合意された解決策の導入を通じまして、一国主義的な課税措置を防止することによりまして国際課税システムに安定性と確実性をもたらすものであります。
100年来続いてきた国際課税原則を見直すこの条約、これは歴史的な成果になり得るものであると考えております。日本といたしましても、引き続きまして国際的な議論を主導して、今回提示されましたタイムラインに沿って、まずは多国間条約の署名に向けて必要な取り組みを行ってまいりたいと考えております。
Q、今のお答えに関連して何か課題があるのか、どう見ているか。
A、とにかく日本としては、各国、これはさまざま利害が錯綜(さくそう)する中で、ここまで条約としては合意ができて声明ができたということでありますので、あとはそれぞれの国の国内手続き等もあると思いますが、そうしたものを通じて早く条約を、第1の柱が成立するようにしたいと思います。こういうものはやっぱり流れというか勢いが重要だと思います。そういうここまで来たモメンタムを失わないようにするため、日本としてもさまざま貢献していきたいと思います。
Q、先日、ロシア産原油の価格が、G7やEUなど対ロ経済制裁で設けた上限の1バレル60ドルを初めて突破した。今後G7として追加措置を検討するかどうか意見を伺いたい。あと16日に行われるG7で、この点について議論する予定は。
A、今その課題を、G7のインドでのG20に併せて行いますG7の会合で、主要なテーマとして取り上げる予定は今のところありません。しかし会議でありますから、各国のいろいろな発言もあるかもしれません。そういうものはそういう各国の議論をしっかりと受け止めて、G7としても考えていく必要があるんだと思います。
Q、党の動きで、昨日、自民党の税制調査会の非公式の幹部会合が開かれ、宮沢税調会長は法人税などについて、来年からの増税は難しいという認識を示した。防衛財源に関して、安定財源は必要だと思うが、税調の受け止めと大臣として何かお考えはあるか。
A、かねてから申し上げております通りに、今後の税制措置につきましては、その開始時期も含めまして、与党の税制調査会で議論されるということを言ってきたところでございます。きのうの党の議論は、税調のインナーでの議論というふうに聞いておりまして、詳細は承知をしていないわけでありますけれども、政府といたしましては、防衛財源を確保するための税制措置の開始時期について、本年6月に閣議決定されました骨太2023を踏まえつつ、引き続き与党税制調査会と緊密に連携して判断していく必要があると、そういうふうに思います。6月に閣議決定をしておりますので、骨太の方針が決められておりますので、その枠内でしっかりと前に進めていきたいと、そういうふうに考えております。もちろん与党の税調とはしっかり連携してまいりたいと思っています。(了)