G7財務相、ウクライナ復興へ結束=分断のG20、17日開幕
2023年07月16日 19時09分
【ガンディナガル(インド西部)時事】先進7カ国(G7)は16日、財務相・中央銀行総裁会議をインド西部ガンディナガルで開催した。世界経済の動向について意見を交わしたほか、ロシアの侵攻が続くウクライナの復興支援や対ロ制裁の強化で結束を確認した。17日には20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議が開幕する。
G7議長国の日本からは鈴木俊一財務相と植田和男日銀総裁が出席。終了後、鈴木氏は記者団に対し、「ウクライナの復興・再建支援を続けていく。G7の揺るぎない支援を改めて確認した」と説明した。今後の世界経済について、植田氏は「非常に不確実性が強く、粘着質なインフレがどう推移し、中銀がどう対応するかが一番大きい」と指摘した。
会合にはウクライナのマルチェンコ財務相がオンライン形式で参加し、破壊されたインフラの復旧など、将来の経済復興も含めて議論した。復興の財源として、制裁で凍結したロシアの資産を活用する案が浮上しており、鈴木氏は「ロシアが長期的な再建の費用を支払うように取り組む」と強調した。
このほか、途上国の貧困問題や気候変動問題を支援するため、世界銀行など国際開発金融機関の強化を目指すことで一致した。巨大IT企業に対する「デジタル課税」の重要性についても確認。さらに、重要鉱物などの供給網強化に向けた低・中所得国との協調を急ぐ考えを共有した。共同声明の採択は見送った。
G20会合は2日間の日程で、ロシアの侵攻に伴う世界的なインフレなど、不確実性を増す世界経済のリスクについて討議する。米中対立の激化やウクライナ侵攻で国際社会の分断が深まる中、コロナ禍から回復途上にある世界経済を力強い成長軌道に戻すために政策協調を打ち出せるかが焦点だ。米欧の急ピッチの利上げなどで深刻化している低・中所得国の債務問題や、新興国を含めた各国の脱炭素化を金融面で支援する「サステナブルファイナンス」、暗号資産を巡る規制についても議論する。
G20財務相会議は昨年2月のウクライナ侵攻後、ロシアを巡る立場の隔たりから5回連続で共同声明の採択を見送った。各国の利害が複雑に絡み合い、議長国インドは難しいかじ取りを迫られる。(了)