日産、エンジン生産累計4000万基=横浜工場、全固体電池など電動化シフトへ
2023年07月19日 16時00分
日産自動車<7201>は19日、創業の地である横浜工場(横浜市神奈川区)でのエンジン生産が、今年6月に累計4000万基を突破したと発表した。和田民世工場長は、同日の記者説明会で「全固体電池のパイロットライン(小規模生産ライン)も含め、脱炭素化に貢献していく新たな開発や量産化技術に工場のリソースをどんどん振り替えていきたい」と語り、電動化シフトへの対応にも意欲を示した。
横浜工場では、ターボエンジン「L20ET」やV型6気筒の「VGエンジン」などの歴史的なエンジンを生産してきた。現在は、「日産GT―R」に搭載する熟練した職人が手で組み上げる「VR38DETTエンジン」を生産。さらに、加速に合わせて圧縮比を調整できる「VCターボエンジン」の量産を2017年に世界で初めて開始した。高効率と高出力を両立させた同エンジンは、日産独自のハイブリッド車(HV)技術「eパワー」のモーターを回すのに使う発電用エンジンにも採用され、電動化への橋渡し役に位置づけられている。
日産は19日、VCターボエンジンの量産を可能にしたコア技術を横浜工場で報道陣に公開した。強度の高い材料を高精度で加工する技術や、軽量化や熱伝導の性能向上につながるシリンダー内径のコーティング技術などが紹介された。
同工場では、電気自動車(EV)「リーフ」の発売以降、EV駆動用モーターの生産も開始。EVに加え、「ノート」などに採用するeパワー用モーターの生産も行っており、同工場でのモーターの生産割合は22年度に約4割に達した。24年までには、次世代バッテリーとして期待される全固体電池の技術開発を行う小規模生産ラインも設置する予定だ。
日産は、今年で設立90周年を迎える。和田工場長は「モーターの生産は来年には累計200万台を達成する見込みだ」との見通しを示した上で、同工場を「新技術の開発と量産を担う集積地にしたい」と語った。(了)