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〔深読み米国株〕「追加利上げ警戒で売り」に疑問…4~6月期決算次第で上値追いも

2023年07月07日 15時30分

EPA=時事EPA=時事

 連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めの最終局面入りの思惑が浮かんでは消えしているうちに、2023年は折り返し点を過ぎた。7月6日はS&P500、ナスダック総合指数はともに0.8%安と軟化したが、株売りの背景にあるのは雇用指標の上振れによる追加利上げへの警戒感か単なる利益確定か本稿執筆時点では誰も断言できないだろう。追加利上げが投資家の関心事であり続けるほど米国景気は好調だ。この先、4~6月期の業績改善が確認できれば、利上げ懸念を吹き飛ばして株価が上値を追う可能性がありそうだ。

 6日は給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が6月の全米雇用報告を発表。民間部門の雇用者数が市場予想の約2倍だった。日本時間7日夜発表される6月の雇用統計も上振れすれば、次回(7月25~26日)連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ再開の確度が高まる。6月FOMCで決めた利上げ「スキップ」の適否も問われ、9月会合での連続利上げ観測も強まり、株式には強い逆風になりかねない。

 一方、S&P500指数は6月までの4カ月連続高で12.1%上昇し、ナスダック総合指数は20.4%高と急伸している。ADP全米雇用報告の結果がどうあれ、特段のネガティブ材料がなくても短中期投資家による利益確定売りが出て当然の大幅高だ。

 6月雇用統計が上振れして株式の逆風になったとしても、ほどなく追い風に転じる可能性がありそうだ。

 野村アセットマネジメントの石黒英之シニア・ストラテジストは米国の企業決算が事前予想を上回る傾向が強い点を指摘する。石黒氏によると、2023年1~3月期まで12四半期連続で、S&P500企業の1株利益(EPS)成長率が事前予想を上回った。4~6月はコミュニケーション・サービスの増益転換や情報技術の2四半期連続での減益幅縮小が予想され、「時価総額比率の高いハイテク株を中心に業績の持ち直しが期待される」(石黒氏)という。

 足元の米国株は株価収益率(PER)主導の期待先行型の上昇基調にある。4~6月業績の予想比上振れが確認できれば、株価の割高感後退とともに上昇トレンド延長につながりそうだ。

 米国株の日本語メディア「バロンズ・ダイジェスト」は6日朝、「リセッション入りを判断する六つの指標」と題する記事を掲載。政府や企業による公式統計以外の指標を独自に検証した。ファストフード店でのフライドポテトや男性用下着の販売動向、図書館の利用状況などから景気の先行きを予想しようするものだ。

 一例だが、サイドメニューとして注文されるフライドポテトが売れれば好況というわけだ。フライドポテト製造会社ラム・ウェストンのウェストンCEO(最高経営責任者)は決算説明会でフライドポテトの需要は依然として「健全」だと述べた。一方、マクドナルドの決算説明会でケンプチンスキーCEOは世界的にフライドポテトを注文する客が減ったと指摘している。強弱混在で景気の先行きは相変わらず読みにくいが、だからからこそ株価はまだ上がるかも知れない。米国の相場格言では「上げ相場は懐疑の中で育つ」とされる。(編集委員・伊藤幸二)(了)

 

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