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〔為替感応度・ハイテク株〕ドル円想定レートは130円中心=24年3月期

2023年05月16日 11時30分

為替感応度

 電機大手、半導体製造装置、電子部品などハイテク企業の2024年3月期(今期)の想定為替レートが出そろった。時事通信社が主要35社を対象に調べたところ、対ドルでの想定レートは1ドル=125~135円に設定され、半数近くが130円とした。ハイテク企業の多くが増収増益を予想する中、現在の相場水準が続けば業績押し上げ要因となりそうだ。

 具体的には、対ドルで今期想定レートを示した33社中、ソニーG〈6758〉、日立〈6501〉、NEC〈6701〉、アドバンテス〈6857〉、TDK〈6762〉など半数近い15社が1ドル=130円に設定。最も円高水準の1ドル=120円としたのは、ニデック〈6594〉、太陽誘電〈6976〉、東芝〈6502〉など5社。一方、ダイキン〈6367〉は最も円安の1ドル=135円を見込んだ。

 為替変動による業績への影響「為替感応度」を見ると、対ドルで1円の円安による営業利益の押し上げ効果は、村田製〈6981〉で50億円(想定レート・1ドル=127円)、日東電工〈6988〉で30億円(同130円)、ダイキンで22億円などとなっている。

 ソニーG(想定レート・1ドル=130円前後、1ユーロ=138円前後)は、対ドルでは1円の円安で5億円の営業利益押し下げ要因になるが、対ユーロでは1円の円安で80億円の増益効果があるとしている。一方、NECは「ソフトウエアビジネスに注力しているため、為替変動による業績への影響は大きくない」(広報)と説明しているほか、東エレク〈8035〉は「取引の多くが円建てで行われているため、為替変動の影響はない」(同)と話している。

 ただ、米国の金融政策の転換点が近づいていると指摘される中、日米金利差縮小が意識されれば、思わぬ円高・ドル安となる可能性があり、「円高デメリット株として、警戒される場面もあるかもしれない」(国内証券)との声が聞かれた。また、欧米でこれまでの利上げにより景気減速が進み、「年後半に向けて半導体や電子部品需要が回復すると想定していたシナリオが崩れれば、需要の不振が円安効果を打ち消すことも考えられる」(別の国内証券)との声が出ていた。(了)

 

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