ウォール・ストリート・ジャーナル
コモディティコンテンツ

マーケットニュース

〔深読み米国株〕S&P500は4250へ?…利上げ再加速懸念も株式は強気

2023年03月08日 16時00分

EPA=時事EPA=時事

 米国で政策金利の引き上げペースの再加速が懸念され、金利先物は3月21、22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%利上げを着々と織り込んできた。一方、株式の先高期待は衰えず、現地専門家からは4月末にS&P500指数が4250(7日終値3986.37)へ上昇するなどとする強気な見方が出ている。

 2月3日発表された1月の雇用統計で新規就業者数が市場予想を大幅に超過したことを受けて、短期金利の指標となるフェデラルファンド(FF)金利先物はここ1カ月で「0.5%利上げ」を織り込んできた。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が3月7日の議会証言で利上げペース加速に言及するなど「タカ派」回帰を見せると、FF金利先物から推察される0.5%利上げの確率は前日の31.4%から73.5%へ跳ね上がった。

 一方、株式市場が利上げ再加速の強まりに臆する様子はうかがえない。7日はS&P500が62.05ポイント安の3986.37に下落したが、それでも4000前後の水準を保ち、「恐怖指数」の別名があるVIXも20割れの低水準だった。8日の時間外取引でS&P500ミニなど米株先物は前日比変わらず付近で推移し、利上げ再加速を警戒して売りを急ぐ様子はうかがえない。

 米国株情報を日本語で伝える「バロンズ・ダイジェスト」はパウエル議長の議会証言に先立つ日本時間6日午前、「S&P500、4月末には4250に上昇」とする記事を配信した。同記事は、多くの投資家が株高に懐疑的だと指摘した上で、金融機関やヘッジファンドに投資戦略を提供するファンドストラットで調査部門を率いるトーマス・リー氏による「上昇する可能性が高い」との見方を紹介している。リー氏によれば、3月から4月の8週間にS&P500は7%の上昇が暗示されるという。

 米国株はこのところ、インフレによる金融引き締め懸念とインフレ沈静化による利上げ打ち止め期待の間で揺れ動き、方向感が定まらない。

 そこで、S&P500の値動きを直近52週で調べたところ、8週間騰落率の絶対値は平均で6%だった。ファンドストラットのリー氏による8週で7%高シナリオは通常の株価変動の範囲内で実現可能ということになる。足元の株式市場は上昇局面にも下落局面にもなく、長引くもみ合い相場の渦中にあるだけなのではないか。とすれば、上値での買い乗せや下値での投げ売りはリスクが大きく、ボックス相場を前提とした押し目買い・吹き値売りが当面の良策という可能性が出てくる。(編集委員・伊藤幸二)(了)

 

ウォール・ストリート・ジャーナル
オペレーションF[フォース]