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〔為替感応度〕想定レート、1ドル=135円程度と円高方向に修正=23年3月期

2023年02月15日 11時00分

為替感応度

 自動車、半導体、電子部品など主力輸出関連企業の2023年3月期通期の想定為替レートが出そろった。時事通信社が主要15社を対象に調べたところ、対ドルでの想定レートは1ドル=135円前後に設定され、22年9月中間決算時点(1ドル=135~140円程度)からはやや円高方向に修正された。市場では「円高傾向が続けば、為替メリットがなくなり、業績の押し下げ要因になる」(国内証券)と懸念する声が聞かれた。

 主要企業では、ソニーG〈6758〉が9月中間決算発表時の140円前後から134円前後、トヨタ〈7203〉が135円から134円、日産自〈7201〉が135円から134円、村田製〈6981〉が136円99銭から134円15銭、オリンパス〈7733〉が140円から135円と、それぞれ円高方向に修正した。ただ一部には、132円から135円に修正したパナソニック〈6752〉のように、円安方向に見直したところもある。

 一方、日本電産〈6594〉は23年3月期の期初から一貫して想定為替レートを変更していない。

 また、為替変動による業績への影響を表す「為替感応度」をみると、1円の円高による年間の営業利益の押し下げ効果は、トヨタが450億円、日産自が100億円、ソニーGが10億円、村田製が50億円、オリンパスが11億円などと試算されている。

 昨年10月に1ドル=152円目前にまで迫ったドル円相場は、今年1月には127円台まで下落するなど値動きの荒い展開が続いている。こうした中、主力の医療分野の売り上げの3分の1強を北米で得ているオリンパスは、円高の影響などから23年3月期通期の連結営業利益を従来予想の2120億円から1980億円に下方修正した。

 また、京セラ〈6971〉は「エネルギーコスト、部材調達コストなどが不安定なことから、感応度の試算は今回非公表」と説明。アナリストによると、京セラはこれまで1円の円高で営業利益を約16億円(昨年11月時点)押し下げると試算していた。

 証券関係者は「日米ともに金融政策の行方が不透明なだけに、為替の不安定さが企業業績の先行きに及ぼす影響が懸念される」(ネット証券)としている。「ドル円相場が前年比で1%ドル安・円高方向に変化すると、日経平均株価は前年比1.3%程度下落する」(資産運用会社)との試算もあり、円高進行は株式市場にも影を落としかねない。

 もっとも「期初の段階である程度為替予約をしているため、影響は試算よりも小さくなる」(日産自)とする企業もあるなど、不安定な為替相場に適切に対応しているところもある。(了)

 

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