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〔深読み米国株〕◆米国市場は二面作戦…インフレ継続か景気後退か

2022年12月23日 15時00分

EPA=時事EPA=時事

 先行きの「インフレ継続」と「インフレ沈静化後の景気後退」のどちらを想定するかで、必要な投資戦略が変わってくる。ただ、最近発表された経済指標は強弱が混在し、株価は乱高下している。

 ダウ工業株30種平均は12月22日までの直近1カ月で500ドル超の急伸と500ドル超の急落が各2回あった。株価が落ち着かないのは、投資家が景気や金融政策の方向感をつかみきれないためだ。

 直近では、21日発表された消費者信頼感指数(12月)がインフレ期待低下から108.3と101前後とされた市場予想の中央値を上回ると、ダウは526ドル高と急伸。しかし、翌22日に7-9月期実質GDP(国内総生産)が上方修正され、利上げ長期化による景気停滞懸念から同日のダウは下げ幅が一時800ドルを超えた。

 株価の動きを見る限り、インフレが沈静化するのか長引くのか、市場のコンセンサスは定まっていない。どちらかに賭けるのは投機だが、両方のシナリオに乗るのが投資だろう。

 インフレ継続と景気後退のどちらのシナリオに対しても、米国株投資メディアのバロンズ・ダイジェストは資産運用の選択肢を提供している。

 22日朝に配信した「REITの優先株を見逃すな」と題する記事では、REITの優先株(優先証券)の配当利回りが6~8%と、JPモルガン・チェースなど大手銀行優先株の6%程度より高いことを紹介している。11月の消費者物価の上昇率は7.1%と、10年物国債利回りの約2倍だが、REIT優先証券なら利回りがインフレ率を上回る可能性がある。

 一方、インフレ沈静化とその後の景気後退も警戒されている。22日には「コストコに『絶好の買い場』到来」とする記事で、量販大手コストコ・ホールセールを取り上げた。現地アナリストがコストコ店舗を訪れると、荷物を満載した高級車で駐車場があふれていたとするエピソードとともに強気の株価見通しを示している。同日の記事「リセッション下で好調が期待できる5銘柄」では、株価が製造業PMIと逆相関し、ベータ値(株価指数への感応度)が低い電気・ガスのサザンなど不況に強い銘柄を紹介している。

 米国景気後退の可能性について、SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは23日付の投資家向けリポートで、「すでに景気後退に入った旨のシグナルは存在しない」と指摘。一方、利回り曲線を基にした12カ月後の景気後退確率は10月から64.4%、94.2%と上昇し、12月には100%に到達したとの分析を示している。(編集委員・伊藤幸二)

 

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