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〔深読み米国株〕◆2023年の有望銘柄は?…キーワードは「指数離れ」

2022年12月16日 16時00分

EPA=時事EPA=時事

 2022年は主力セクターである大型IT関連銘柄の値下がりが著しく、「株価が戻ったら売りたい投資家が無数にいる」(外資系証券)と指摘する声は多い。23年は需給悪が予想される大型IT株の構成比が大きいナスダック総合指数やS&P500といった主要指数に連動するETFなども上値が重くなり、相場のキーワードとして「主力指数離れ」「IT株離れ」が予想される。

 22年はナスダック総合指数が昨年末比30.9%に落ち込むなど主要株価指数の下落が著しく、多くの米国株投資家のポートフォリオは傷んだまま。米国株時価総額の約8割をカバーするS&P500は昨年終値を18.3%下回り、52週線比でもマイナス6%の水準にある(いずれも12月15日現在)。

 こうした局面で個別企業の増益や長期金利低下といったプラス材料が出て、せっかく株価が上がっても、投資家は新規買いや買い増しよりも含み損の縮まった銘柄の手じまいを先行させるため、上値は伸びていかないものだ。手じまい一巡後も利食いは浅くなりがちのため、すっきりと上げきらない相場になりやすい。

 米国株メディア「バロンズ・ダイジェスト」は12月15日付で、「UBS:トップピック23銘柄」と題する記事を掲載し、欧州系大手UBSが「買い評価が最も説得力のある銘柄」として推す23銘柄を紹介した。この中でハイテク銘柄はアドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)、デル・テクノロジーズ、ギット・ラブ、ゼブラ・テクノロジーズの4銘柄にとどまる。

 非ハイテク銘柄を含めてもナスダック100指数の構成銘柄はAMDとナイキの2銘柄だけ。GAFAMと総称されるアルファベット(グーグル)やアップルなど巨大IT株は含まれていない。UBSの予想が全てではないが、これでは大型IT株が主役のナスダック100や同総合指数の大幅高は期待しにくい。S&P500も11セクターのうち「情報技術」が4分の1を占めるため、上値は重くなりそうだ。

 「木を見て森を見ず」とは細部にとらわれて大局を見失う様子を示すことわざだが、日本株市場では古くから「木を見て森を見ない」という表現がある。個別銘柄だけに注目し、日経平均株価などが示す相場全体の動きはあえて無視する投資スタイルを指すものだ。23年の米国株投資はS&P500など全体指数にこだわらず、まっすぐ伸びていく木を探すのが良策かもしれない。(編集委員・伊藤幸二)(了)

 

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