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〔深読み米国株〕米国株、株価チャートの示す先…底値でも過熱でもなく

2022年12月09日 15時40分

EPA=時事EPA=時事

 米S&P500指数の8日終値3963.51は昨年末比16.8%安の一方、今年最安値比13.5%高。底値圏でも過熱圏でもなく、投資家にとって中途半端な水準にある。金融政策の変更や重要統計発表といった大型イベントが毎日あるわけではなく、決算発表の端境期にあるため、個別企業ベースの取引材料も少ない。こうした局面では、株価チャートが売買材料として注目度を増してくるものだ。

 米国株情報を日本語で伝える「バロンズ・ダイジェスト」は8日午前、「S&P500が200日移動平均を超えられない意味」と題する記事を配信した。同記事は、S&P500が200日線と一致する水準に達した時に買い手が見つからなかったことは「市場に対する信頼感が弱まっていることを示す」と指摘。「S&P500が3700に向けて下がりそうだ」とする米投資助言会社マクロ・リスク・アドバイザーズのチーフテクニカルストラテジストのコロボス氏による予想を紹介している。

 S&P500は8月16日に4325.28まで上昇したが、200日線にわずか0.90ポイント届かなかった。直近では12月2日まで3日連続で終値が200日線を超えたが、その後は200日線を下放れている。

 SMBC日興証券の吉野豊チーフテクニカルアナリストは11月14日付のリポートで、米国株が「12月から2023年1月にかけて戻して二番天井を形成した後は下げが再開し、2023年には一段の調整が生じる可能性があるだろう」と予想している。今年12月から来年1月にかけて122カ月など複数の重要サイクルが重なり、一時的に騰勢が強まるという。

 移動平均線は主に水準と方向の2つが重要とされる。

 S&P500の200日線は直近200日の主要銘柄の平均的な買値を反映していると考えられる。8日終値は200日線を1.87%下回っているため、2月24日以降に米国の大型銘柄を買った投資家の多くは含み損状態にあることが推察される。

 200日線は4月21日をピークに下降を続けている。先のバロンズ・ダイジェスト記事は200日線の右肩下がりを「投資家がより低い水準で確信を持って売り続けているということになる」と解釈し、「短期的には、持続的な相場上昇は依然として困難な状況だ」としている。(編集委員・伊藤幸二)(了)

 

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