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〔深読み米国株〕クリスマス商戦低調で株高加速へ=米債が織り込む利上げ減速

2022年12月02日 15時46分

EPA=時事EPA=時事

 米国長期金利の指標となる10年物国債利回りが日本時間12月2日早朝の時間外取引で3.5%割れに迫る水準へ低下。連邦準備制度理事会(FRB)による利上げペース減速の織り込みが一段と進んだ。米国のクリスマス商戦が低調に終われば利下げ開始時期の前倒し期待が強まり、米国株と債券は騰勢を強めそうだ。

 米国株メディアのバロンズ・ダイジェストは11月28日付で「弱気市場よさようなら?」とする記事を配信。株式市場が最悪期を脱したとの見方を示している。同記事は「FRBが利上げをやめると株式市場が動きだすという考え方があるが、実際には債券市場が先に反応する」とするルーソルド・グループのポールセン主席投資ストラテジストのコメントを紹介。債券市場が織り込む今後5年間のインフレ率は年2.5%と、直近の8%前後を大幅に下回っていることを挙げ、株価が一段高する可能性があるとしている。

 ただ、市場が期待するインフレ沈静化や利上げ停止には、越えなければならないハードルがある。クリスマス商戦だ。

 米商務省が1日発表した10月の個人所得の増加率は前月比0.7%と前月比横ばいの0.4%だった市場コンセンサスを上回った。0.7%と0.4%は一見すると僅差に映るが、前月比0.7%ずつ所得アップが続くと12カ月後には8.73%増。所得と消費の相関性が高い米国では、個人消費の強力な刺激材料になる。インフレ沈静化どころかインフレ第2波来襲を警戒する必要さえ出てくるだろう。10月は実質個人消費も前月比0.5%増と9月の0.3%増から拡大し、所得と支出の増加が並行して進んでいることが分かる。

 SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは12月2日付のリポートで「消費支出の高い伸びは持続性に疑問」があるとして、支出増加が社会保障給付や税控除などによる一時的要因によるものである可能性を指摘。支出増については、消費者がインフレを警戒し、クリスマスギフトなどの購入を前倒しした可能性があるとみて、「10~12月期の個人消費の着地は、年末商戦の出来次第だろう」との見方を示している。

 米国では14日のFOMC結果判明を前に3日から、FRB高官が金融政策について発言を控える「ブラックアウト」に入る。本来なら疑心暗鬼が広がるところだが、債券利回りの低下が進み、株式オプションを基にしたVIX(恐怖指数)は8月以来の20%割れと、市場はFRBの「脱タカ派」に何の疑いも持っていないかのように映る。「債券も株式もクリスマス商戦の低調とその先の利上げ停止まで先取りしており、顧客の多くが二番底での買いを待ち構えている」(外資系証券)といい、株式に関しては下がりそうで下がらない相場が続きそうだ。(編集委員・伊藤幸二)(了)

 

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