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〔深読み米国株〕強気に傾く米株市場…10倍高銘柄期待も復活

2022年11月25日 16時11分

AFP=時事AFP=時事

 米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(11月1、2日開催分)が23日公表され、多数の委員が利上げペース鈍化を支持していることが判明した。金利先高懸念は10月の消費者物価指数発表(11月10日)からさらに後退し、強気に傾く米国市場では、株価が10倍になる「テンバガー」の候補探しが始まるほどだ。

 24日付の「バロンズダイジェスト」は「市場は底を打った、なぜそう言えるのか」とする記事を掲載した。同記事は資産運用会社ルーソルド・グループのポールセン主席投資ストラテジストの「景気後退を何とか回避するか、小幅な後退にとどまるとすれば、新しい強気相場が始まった可能性がある」との見解を紹介。今後、数四半期は業績予想の下方修正が続く可能性はあるが、株式市場は業績予想より3~6カ月程度先行して底を打つ傾向があるとしている。

 22日付のバロンズダイジェストは「株価が10倍になる可能性のある5銘柄」とする記事を配信した。資産運用大手アライアンス・バーンスタインによれば1980年以降、5年で10倍になった175銘柄の約48%がハイテク株だった。大化け候補といっても経営難で株価が極端な低水準にあるわけではなく、大半が黒字企業だったという。同記事によれば、ゲーム販売のエレクトロニック・アーツやデータセンターを運営するジュニパーネットワークスなど5銘柄をアライアンス・バーンスタインがテンバガー候補としている。

 こうした強気な見方が広がっていく背景には米国の株価水準がある。23日終値が52週安値比で2割高以上の銘柄はダウ工業株30種平均で20銘柄、ナスダック100指数で72銘柄を占める。米国では52週安値比2割高が底打ちから上昇局面入りの目安とされており、「大底からの反騰トレンドはすでに始まっているというのが米株投資家の実感だ」(外資系証券)という。


 投資家の含み損益の指標とされるS&P500指数と100日移動平均線との乖離(かいり)率は6月16日にマイナス14.24%まで悪化し、多くの投資家が含み損で身動きが取れなくなったが、11月23日終値ではプラス3%と含み益状態にある。乖離率が5%を超えてくると利が乗った銘柄から次の銘柄に乗り換える動きが強まり、相場は一段と活気づいてくるだろう。

 「米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ休止の確度が高まれば、一時4%台に上昇した10年債を拾ってインカムゲイン獲得のめどを付けた機関投資家が株式で積極的にリスクを取ってくる」(別の外資系証券)との指摘もあり、株高と債券利回り低下がさらに株高を呼ぶ展開となる可能性が出てきたようだ。(編集委員・伊藤幸二)(了)

 

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