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〔深読み米国株〕G7政策金利合計、危険水域に=業績悪化リスクが表面化へ

2022年11月04日 14時50分

EPA=時事EPA=時事

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2日、政策金利の0.75%引き上げを発表するとともに、最速12月の利上げ幅縮小と利上げ長期化に言及した。企業業績は底堅く推移しているが、主要7カ国(G7)中央銀行の政策金利合計は危険水域入りの10%を超えて上昇を続けており、連続利上げの打撃が今後、業績悪化となって表面化してくるリスクがある。

 米国株メディア「バロンズ・ダイジェスト」はFRBの利上げ発表に先立つ2日朝、「FRBの方向転換、過度の期待は禁物」と題する記事を掲載。市場の最大公約数として、0.75%利上げとパウエル議長が引き締めペースを緩める可能性を示唆することを同記事は挙げている。

 同記事の予想通り、利上げ幅は0.75%で、パウエル議長は最速12月の利上げ幅縮小の可能性に言及した。ただ、パウエル議長は利上げの最終地点は従来の予想より高くなるとも発言している。利上げ幅を0.75%から0.5%に縮小しても、通常0.25%の利上げが3倍速から2倍速になるだけで、急速な引き締めを続けるFRBの基本的な姿勢に変わりはない。

 気になるのは景気への影響だ。金融政策変更が実体景気に影響し、経済統計となって確認できるまでタイムラグがある。利上げ幅が大きいほど景気への打撃は大きく、経済統計がある時突然、3倍速の連続利上げを反映して大幅に悪化する可能性がある。

 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストはG7中央銀行の政策金利が合計10%を超え、景気のオーバーキル(冷やし過ぎ)が警戒される水準にあると指摘する。日銀、FRB、カナダ銀行、欧州中央銀行(ECB)、英イングランド銀行の政策金利は10月末で合計11.025%。11月3日にはFRBとECBがそれぞれ0.75%利上げを決定した。

 上野氏は「G7中央銀行の政策金利合計は年内に13%台に乗せる可能性が高い」と予想し、「金融の引き締め過ぎによる世界経済悪化は避けられない」と懸念している。FRBが12月に利上げ幅を縮小し、2023年1~3月に利上げ停止というのが上野氏の見立てだ。

 株価は金利の影響が大きいPER(株価収益率)と企業業績の指標となるEPS(1株利益)の積で表すことができる。パウエル議長が利上げ幅縮小に言及し、PER低下圧力が弱まる方向にあるとしても、EPSはまだ本格的な調整局面に入っていない。

 バロンズ・ダイジェストが4日に配信した「工業・素材株は割安に見えるが、まだ買いではない」とする記事は「経済が弱体化しているにもかかわらず、業績への期待が維持、あるいは高まっている」状態に警鐘を鳴らしている。

 とはいえ、早めに損切りできた投資家やこれから米国株に資金を振り向けようとする投資家には朗報もある。PER調整による株価下落圧力が弱まる代わりに、EPS調整による株安が始まれば、弱気相場は最終場面を迎えることになるからだ。米国企業の業績下方修正が続出し、市場が総弱気に染まる局面で多額の含み損を抱えているか、高い現金比率を維持しているかが、2023年の運用成績を大きく左右することになりそうだ。(編集委員・伊藤幸二)(了)

 

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