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金融の力で課題解決…サステナブル投資は5000兆円規模

2022年09月20日 17時00分

持続可能な開発目標(SDGs)推進本部の会合で発言する岸田文雄首相(中央)=6月14日、首相官邸【時事通信社】持続可能な開発目標(SDGs)推進本部の会合で発言する岸田文雄首相(中央)=6月14日、首相官邸【時事通信社】

 金融の力で地域社会や地球全体の課題解決を目指すサステナブルファイナンス。キーとなるフレーズは「サステナブル(持続可能)な社会の実現」だ。ファイナンスの名称から想像されるように、本来は脱炭素の設備投資資金の確保などを目的とする融資や社債発行などの資金調達を指していた。しかし、現在では、サステナブルを目標として共有する企業や団体、官公庁などの活動全体へ概念が広がっている。企業など資金を調達する側だけでなく、供給する側の金融機関や機関投資家の活動も含まれる。

 サステナブルファイナンスの拡大はESG(環境、社会、企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)という言葉の広がりと軌を一にする。

 SDGsは2015年9月の国連総会で採択された。貧困撲滅や気候変動対策、ジェンダー平等など17の国際目標を掲げ、これらに付随して169の達成基準と232の指標が定められている。一般的に、ESGはSDGsという目標を実現するための手段と位置付けられ、事業会社はESGを経営に取り込み、機関投資家や金融機関はESGを投融資の可否を判断する際に重視するようになってきた。

 では、実際にサステナブルファイナンスでどれだけのお金が動いているのか。

「グローバル・サステナブル投資白書2020」グローバルなサステナブル投資資産のスナップショット 2016-2018-2020(10億米ドル)「グローバル・サステナブル投資白書2020」グローバルなサステナブル投資資産のスナップショット 2016-2018-2020(10億米ドル)

 世界のサステナブル投資団体で構成するグローバル・サステナブル投資アライアンスが2年ごとに発行する「グローバル・サステナブル投資白書」の2020年版によると、世界の主要市場(米国、カナダ、欧州、日本、オーストラリア)のサステナブル投資残高は合計35.3兆ドル(1ドル=140円換算で4942兆円)。全ての運用資産残高の35.9%を占める。2016年の22.8兆ドルから12.5兆ドル(1750兆円)も増えている。

 日本では、2016年に56兆円だったのが2021年には514兆円に急膨張している。運用総額に占める割合は16.8%から61.5%に跳ね上がった(NPO法人日本サステナブル投資フォーラム調べ)。以上は株式や債券への投資額だが、これに銀行などの融資が加わるので、「サステナブル」を旗印に動くお金はさらに多くなる。

 ニッセイ基礎研究所の徳島勝幸取締役(ESG推進室長)は「ESGの認定基準は時代や社会の変化によって動くもので、長期的に固定されたものではない」とみている。気候変動リスクのほか、地政学リスクやパンデミックリスクもSDGsを考えるうえで欠かせない要素だ。

 欧州議会は7月、原子力発電と天然ガス発電を気候変動の抑制に寄与するグリーンな経済活動として認定する欧州連合(EU)法案を承認した。一方、新型コロナウイルス禍は、医薬品メーカーが経済・社会活動の持続に死活的に重要であることが広く周知されるきっかけになった。

 このように明確な基準がない中にあって、実際には環境保護に貢献しないにもかかわらず、環境保護を装って資金を集める「グリーンウォッシング」の問題も指摘されている。徳島氏は「お金に色は付いていない以上、投融資で調達されたお金が何に使われているかの継続的な情報開示と機関投資家や銀行などのチェックが必要だ」と指摘する。

 「サステナブル」の実現に向けてお金がどう動くのが理想的か。企業や金融機関、株主だけでなく、消費者や地域社会など幅広いステークホルダー(利害関係者)を巻き込んで、絶えず議論を深めていく必要がある。


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