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逆ターゲット・ショックで反転相場入り?…「悪役銘柄」に買い評価

2022年08月03日 13時40分

EPA=時事EPA=時事

 株式市場が大きく動く局面では、時価総額の大きい主力銘柄とは別に、市場の雰囲気を象徴する銘柄が出てくるものだ。直近では、業績下方修正の連発が米国景気後退への警報と受け止められ、6月にかけての下げ相場を先導した小売り大手ターゲットがこれに該当する。それだけに、ターゲットの先高観測は米国市場全体の反転材料になる可能性を秘めている。

 ターゲットのS&P500指数の構成銘柄で時価総額は758億ドル。1ドル=133円換算で10兆円を超える規模が、米国では155位にとどまり、指数を動かす銘柄ではなかった。

 ところが、5月18日に市場予想を下回る四半期決算とともに、インフレのため利益率が低下し続けるとの見通しを発表すると、米国景気のハードランディング懸念が急膨張。同日の米国市場はダウ工業株30種平均が1164ドル安と急落するなど「ターゲット・ショック」に見舞われた。6月7日にも業績見通しを引き下げ、その後同月17日にダウとS&P500指数が今年最安値に沈んでいる。ターゲットが扱う衣料品や家庭用品がインフレ下で真っ先に支出抑制の対象になるためだ。

 ただ、上げ下げともに一方通行の相場はない。米国株情報の日本語メディア「バロンズ・ダイジェスト」は2日午前、「ウェルズ・ファーゴ、ターゲットに強気の見解」と題する記事を掲載。米金融大手ウェルズ・ファーゴのアナリスト、エドワード・ケリー氏がターゲットの目標株価を155ドルから195ドルに引き上げたことを紹介している(2日終値は163.48ドル)。

 ケリー氏はターゲット株を売られすぎと判断。販売促進キャンペーンによる利益率圧迫の問題は大半がすでに解決した公算が大きいとみて、競合他社より早い株価の回復を予想している。

 ターゲット株が本格的な水準訂正に向かえば、他業種を含めて米国市場全体に売られすぎ状態を是正する動きが広がる可能性が出てくる。小売株は景気後退が本格化する前に値を崩し、景気後退の最終局面で市場全体を上放れる傾向がある。日本の株式市場で「夜明け前が最も暗い」と言われるのも同じ文脈からだ。

 米国の4~6月期GDPは年率換算でマイナス0.9%だった。2四半期期連続のマイナス成長は「テクニカル・リセッション」として景気後退局面入りが濃厚なサインとされる。一方、パウエルFRB議長が「現在、景気後退に陥っていると思わない」と述べた。今世紀に入って米国が2四半期以上の連続マイナス成長を経験したのはリーマンショックに揺れた2009年6月までの1年間と2020年6月にかけての半年間の2回だけ。今回の2期連続マイナス成長が景気後退かどうか、サンプルが少なすぎて誰にもわからないのが本当のところだろう。

 こうした全体景気をめぐる論争が続いている間は投資家の強弱感は定まらず、株式市場の方向性もはっきりしない。リスクを承知で底値買いを狙う投資家には、ターゲット株は感度のいい先行指標となり得るかも知れない。

 

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