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「データ次第」はポジティブワード…パウエル発言にAIが買い指示か

2022年07月29日 13時15分

EPA=時事EPA=時事

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は7月27日の記者会見で、9月以降の金融政策は「今後得られるデータ次第だ」と述べ、同日のナスダック総合指数が4%高するなど米国株は急騰した。株価は「データ次第」発言直後に騰勢を強め、市場の一部では「複数の投資ファンドのAI(人工知能)が『データ次第』をポジティブワードと判断し、買いにつながった」(外資系証券)との見方が出ている。

 「That is a decision that will depend on the data we get between now and then.」 政策金利は今から次回FOMCまでに出てくるデータ次第だ。経済データを無視した金融政策はあり得ないので、パウエル氏は実質的に何も言っていないに等しい。しかし、株価の反応を見る限り、「データ次第」は米国株を押し上げる大型材料だった。

 パウエル議長は1月11日の議会証言で「利上げ回数はデータ次第だ」と発言している。1年前の7月28日には連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でも、資産購入ペースの変更について「データ次第」と述べるなど「データ次第」発言は無数にある。しかし、取引時間中の地合いを急変させるほどのインパクトはなかった。

 7月27日を振り返ると、0.75%利上げを決めたFOMC声明文の公表直後は株価がほとんど動いていない。しかし、利上げ発表から30分後にパウエル議長の記者会見が始まると、ナスダック総合指数が一気に100ポイント高を超える急動意を見せた。「データ次第」発言にAIが反応し、「市場全体の上げや買い注文の増加を読み取ってAIがさらに買いを指示する流れだったとみられ、FOMC声明文と照らし合わせてパウエル議長発言を吟味する間もない展開だった」(国内運用会社)という。

 市場が恐れるのは、景気停滞下のインフレ進行を意味する「スタグフレーション」入り。米国の国内総生産(GDP)は4~6月期に2期連続マイナスに陥ったが、米国市場では景気後退の定義について議論が交わされている。米国株情報の日本語メディア「バロンズ・ダイジェスト」は7月22日から29日にかけて「株価上昇は景気後退の定義次第?」「景気後退って何? 誰が決めるの?」「米景気、二番底の可能性—80年代前半の再現」と題する米国景気についての記事を連続して配信。急速な利上げ本格的な景気後退リスクを報じる一方、2四半期連続のマイナス成長という景気後退の判断基準が「今回は当てはまらないかも知れない」とする現地市場関係者の考察を紹介している。

 パウエル議長が7月27日の記者会見で指摘した通り、米国景気が後退局面にないとすればメインシナリオはハイペースの利上げ続行だ。失業率など雇用関連データが悪化に向かえば、「景気後退を受けた利上げ小休止を織り込んで買い」「インフレ下の景気後退で売り」と2つの解釈が可能になる。「当面、重要指標発表後の短期的な株価の上下はAIの判断次第」(同)になりそうだ。

 

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