株価、日米で底打ちの可能性…早くもグロース株推奨
2022年07月22日 17時12分
7月27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を待たずに米国株が上昇基調を強め、ほぼ同一歩調で日本株も値戻しを進めている。長期金利がピークアウトしたとの見方から米国株の底打ち観測が出るなど市場の雰囲気は急速に好転。米国では一部の半導体株への投資が推奨されるなど金利上昇に弱いグロース(成長)銘柄が注目されている。
S&P500指数は7月21日に3999.29と4000の大台に急接近し、6月17日の今年最安値から約1割上昇した。ハイテク系の主要銘柄で構成するナスダック100指数は6月安値から14%高とさらに上昇率が大きい。
これより半日前の日本時間21日昼、米国株情報の日本語メディア「バロンズ・ダイジェスト」は「景気減速下でアウトパフォームしそうな半導体3銘柄」と題する記事を配信した。6月にかけての下げ相場で悪役になった半導体株だが、銘柄によっては買いを検討する時期だとする内容だ。
記事が取り上げたのは米スタイフェル証券のトーレ・スバンバーグ氏の分析。マイクロチップ・テクノロジー、モノリシック・パワー・システムズ、アナログ・デバイセズの3銘柄。スバンバーグ氏はスマートフォンなど消費者向け製品の需要の弱まりを指摘する一方、マクロチップなど「よりディフェンシブな性質を持つ銘柄」を推奨しているという。
景気や金利敏感セクターとされる半導体株の中でも業績の安定した銘柄に注目する姿勢は、先行きの景気減速懸念が残る中でも買える銘柄を探そうという投資家のニーズに応えたものだ。
一方、国内でもグロース銘柄の買いのタイミングを計る雰囲気が強まってきた。SMBC日興証券が毎月発行する「SMBC日興ストラテジー・マンスリー」の8月号では、チーフ株式ストラテジストの圷正嗣氏が「グロース株の本格回復はまだ先だが、そろそろ一部保有することが有効」との見解を披露している。
圷氏は「米長期金利にピークアウト感が強まった一方、すぐに下がるわけではない」と、中途半端な状況が続くと予想。出遅れのバリュー(割安)株と先行して売られたグロース株へのリスク分散が順当だとの見方を示している。グロース株については、本格的に買われるのは米国の利上げ打ち止めが視野に入ってからとしながら、「7~9月期から一部保有することは有効になる」とし、注目株を紹介する「8月のターゲットリスト」にローム(6963)を新規で追加。こちらも米スタイフェル証券がマイクロチップを推すのと同じように、自動車や産業機械向けに強い点を評価している。(編集委員・伊藤幸二)