〔NY金市況・詳報〕金現物、9年ぶり高値=コロナで安全資産に買い集まる(8日)
2020年07月09日 07時58分
8日の金現物相場は上昇。テクニカルな1オンス=1800ドル水準を大きく上回り、一時2011年9月以来の高値を付けた。新型コロナウイルスの感染拡大により、安全資産である金に買いが集まった。また、中央銀行が景気低迷の抑制に向けて力強い刺激策を導入したことも材料視された。
金現物は米東部時間午後1時39分(1739GMT)時点で0.9%高の1オンス=1811.01ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の8月きりの清算値(終値に相当)は0.6%高の1820.60ドル。
ハイリッジ・フューチャーズの金属取引部門ディレクター、デービッド・ミーガー氏は「財政刺激策と金融刺激策が支援材料の柱となっている」と強調。金ETF(上場投資信託)やその他の投資といった形での資金流入も金相場を支えたと説明した。
ミーガー氏は「ドルは下落し、商品相場を支えているが、特に金と銀に顕著だ。市場への定期的な流動性の注入が金相場にとって最もプラスの要因だ」と指摘した。
金現物は一時、11年9月以来の高値となる1817.71ドルを付け、史上最高値である1920.30ドルを下回る水準を推移した。
金相場は年初来、チャート上で堅調な動きを続ける。これは、世界で1189万人以上が感染した新型コロナに世界経済が直面していることが背景にある。
英スタンダード・チャータードのアナリスト、スキ・クーパー氏は「投資需要の伸びは、現物市場の弱さを補って余りある。現物の裏付けがある上場取引型金融商品(ETP)は過去最高水準を更新し続けている」と述べた。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は7日、金ETFの現物保有残高が年初来の半年間で734トン増と、昨年通年における増加以上になったと発表した。
クーパー氏は「好内容のマクロ経済データやリスクオンの地合いがあるにもかかわらず、金相場は安全資産への需要で継続して上昇している。ドル安も一定程度は支援材料となっているが、重要なのは引き続き実質利回りだ」と分析した。(ロイター時事)