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日米の株式、投資家の目線は配当重視へ

2022年06月10日 13時00分

AFP=時事AFP=時事

 日経平均株価の下げ幅が400円を超えた10日、配当利回りの高い日本株で構成するETF、ダイワTOPIX高配当40(1651)が今年最高値を更新し、市場関係者の話題になった。米国でも高配当株への関心が高まっている。米連邦準備制度理事会(FRB)による急速な金融引き締め観測が強まる中、投資家の関心は高水準の配当を可能にするキャッシュ創出力の高い企業に向かっているようだ。

◇高配当ETFの新高値続出

 9日にはNEXT FUNNDS日経平均高配当株50(1489)、東証配当フォーカス100(1698)、iシェアーズ MSCIジャパン高配当利回りETF(1478)、野村株主還元70連動型ETF(2529)など配当利回りの高い日本株で構成するETFが次々と今年最高値を付けている。同日は今年最高値に比べて日経平均が3.4%安、TOPIXが3.1%安などで、高配当株の優位が際立っている。

 興味深いのは、高値を付けたETFの連動対象指数が日経平均高配当株50指数、TOPIX高配当株40指数など異なることだ。やや乱暴にまとめれば、ETFに利用できる業績安定性のある高配当銘柄が一斉に値上がりした形だ。

◇エクソンモービルなどに注目

 米国株投資情報の日本語メディア「バロンズ・ダイジェスト」の人気記事ランキングでは10日現在、「配当支払総額が上位の高配当利回り6銘柄」が3位に付けている。日本株の高配当ETFの新高ラッシュに先立つ5日朝に掲載した記事だ。

 記事では、バロンズ独自のスクリーニング結果として、原油高が追い風のエクソンモービルや通信大手ベライゾン・コミュニケーションズなどを紹介している。その上で、「配当利回りが高く、配当が多いからといった、必ずしも投資パフォーマンスが高いとは限らない」と、配当水準だけを手がかりとした銘柄選定に注意を促している。

◇インフレ長期化なら高配当株優位継続か

 インカムゲイン(配当収入)銘柄が注目される状況は、キャピタルゲイン(値上がり益)の獲得を楽観できないことの裏返しでもある。FRBによる金融引き締め観測が後退しない限り、キャピタルゲイン獲得の主戦場になるはずの高PER銘柄は金利上昇に弱い特性から手を出しにくい。

 株価は1株当たり利益とPERの積に分解できる。インフレ沈静化まで時間が掛かるとすれば当面は、1株利益が増加傾向あり、PER低下余地が小さい銘柄が有利ということになる。増益による増配余地拡大が足元の高配当株買いの流れに合致するためだ。

 

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