米国株、急落は市場の懸念通り
2022年05月19日 14時00分
18日の米国市場はダウ工業株30種平均の1164ドル安など急落に見舞われ、19日の東京株式市場も連れ安を強いられている。米国株は上昇場面でさえ下落余地を指摘する声は途切れず、市場の懸念通りの下落だった。米国株は弱気相場入りの絶対防衛ライン付近まで下落しており、投資家は米国を発端とする株価の一段安を警戒する必要がありそうだ
◇「叩き売られる可能性」
米国株情報を伝える日本語媒体バロンズ・ダイジェストは18日早朝、「株価上昇は『ベア・マーケット・ラリー』か」と題する記事を配信した。前日にS&P500指数が12日安値から6%高と急反発した直後だったが、同記事はモルガン・スタンレーの米国株チーフストラテジストであるマイク・ウィルソン氏が「弱気相場での一時的な上昇」と分析したことを紹介。「市場は今すぐにでも叩き売られる可能性がある」と警告していた。
◇益回り差はリーマン以来の低水準
下落リスクの根拠として、株価の割高状態が挙げられた。S&P500指数ベースの予想益回り(PERの逆数)は5.8%。10年物国債の利回りとの差は2.8ポイントと、2008年のリーマン・ショック以来の最低水準にあり、「株式に投資するリスクを補うにはあまり意味がない」としている。
ちなみに、日経平均ベースの予想益回りは7.74%(18日終値ベース)。10年物日本国債利回りとの差は7.5%と米S&P500指数より大きく、日本株の方が米国株より下落耐性が大きそうだ。
◇S&P500の3837を注視
18日の米国市場ではさっそく、ダウ工業株30種平均が1164ドル安と急落し、S&P500指数も下落率が4%を超えた。先のバロンズ記事はS&P500指数が3837(18日終値比で2.2%安)まで下落すれば、高値から20%下落した弱気相場になるとして、「市場が危機から脱していない」と警鐘を鳴らしている。(了)(編集委員・伊藤幸二)