東証新市場が始動=活性化へ60年ぶり再編―最上位1839社、経過措置課題
2022年04月04日 17時52分
東京証券取引所が4日、株式市場を4区分から3区分に再編し、新たにグローバル企業向け「プライム市場」、中堅向け「スタンダード市場」、新興向け「グロース市場」が始動した。大規模な市場区分再編は1961年の東証2部開設以来約60年ぶり。各区分の特徴を明確化して東京株式市場の魅力を高め、国内外の投資マネー呼び込みを目指す。
新市場は従来の東証1、2部とマザーズ、ジャスダックの4市場を再編。最上位プライムには東証1部の約85%に当たる1839社が移行した。スタンダードへの上場企業は1466社、グロースは466社。
新市場での株式売買は午前9時に開始。これに先立つ式典で、親会社、日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者は「3771の上場会社による持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けた取り組みが始まる」とあいさつ。今後、企業や投資家のために市場が機能しているかを丹念に検証し、再編の実効性を高めていくと強調した。
東証は、従来の市場区分はコンセプトがあいまいで、位置付けに重複もあるとして、2018年から見直しを進めていた。
市場再編では、上場基準を厳格化する一方、新基準に満たなくても当面プライムなどにとどまれる経過措置を導入した。プライムで基準未達の企業は295社に上り、海外投資家らは市場改革が不十分として批判。東証は有識者の意見を聴き、経過措置の終了時期を決める方針だ。
一方、東証1部全銘柄の時価総額から算出してきた東証株価指数(TOPIX)は、従来の構成銘柄をいったん継続採用し、10月から2025年1月にかけて、流通株式時価総額が100億円未満の銘柄を段階的に除外する。日経平均株価の算出も継続される。
◇東証市場再編をめぐる動き
1949年 4月 東京証券取引所設立
61年10月 東証、市場2部を開設
99年11月 東証、マザーズ市場を開設
2013年 1月 東証と大阪証券取引所(現大阪取引所)が経営統合し、
日本取引所グループ発足
7月 大証の現物市場を東証に統合、ジャスダック市場も傘下に
18年10月 東証、市場構造に関する有識者懇談会設置
19年 5月 金融審議会作業部会で市場区分の議論開始
12月 作業部会が報告書取りまとめ
20年 2月 東証、新市場区分の概要公表
21年 6月 東証、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)改訂
7月 東証、上場企業に新市場基準への適合状況通知
9~12月 上場企業が移行先市場を選択
22年 1月11日 東証、新市場の所属企業公表
4月 4日 プライム、スタンダード、グロース各市場が発足
(了)