〔インタビュー〕事業展開、5月以降に加速=暗号資産のデジタルAM・西本代表
2022年03月15日 09時39分
インタートレードや三井物産、セブン銀行などが出資する暗号資産(仮想通貨)交換業者、デジタルアセットマーケッツ(東京)の西本一也代表取締役(インタートレード社長)は、時事通信社の取材に応じ、同社が2月に取引を開始した、金価格への連動を目指す新たな暗号資産「ジパングコイン」が、相場が高騰する中で予想以上の反響を呼んでいると明らかにした。その上で、取扱銘柄の追加や他社への取引提供を通じ、5月以降、事業展開を加速させる考えを示した。将来はデジタル資産などの分野で、同社の取引所ビジネスモデルの普及を目指す。
―ジパングコインの取引を始めてまもなく1カ月。
予想以上の反響が寄せられている。現在は取引口座に入金できるのがPayPay銀行経由に限られているため、顧客には取引開始まで少々お待ちいただいている状態だが、5月末には口座開設処理の改善と、対応可能な銀行を追加し、スムーズに取引を開始できるよう、利便性を高める。同時に、他の暗号資産業者との外部接続も始まる。自社顧客との「B2C」の取引に加え、ビジネスの主体である他社顧客に対する「B2B2C」の取引所型サービスにより、ジパングコインを取引できる口座数は加速度的に増加するだろう。現在は1000口座程度だが、秋から年末にかけては8000口座に達すると想定している。
―当初の顧客属性は。
40~50代が中心で、金投資の知識や経験が豊富な層が多いようだ。
―今後想定している取扱銘柄は。
原油やガソリンなどのエネルギーを手掛けたい。裏付けとなる商品の国際相場との連動を目指す、いわば「商品ステーブル型」という、われわれが開発した新たなビジネスモデルは、金に限らずあらゆる分野への応用が可能だ。管轄する省庁と調整をしながら、6月ごろには銘柄を追加したい。
◇デジタル証券の取引プラットフォーム提供も
―銀行や証券会社が出資者リストに名前を連ねている。
出資者に対しては、当社が開発した取引システムを、デジタル証券などの取引プラットフォームとして提供することを計画中だ。暗号資産もデジタル証券も、ブロックチェーン(分散型台帳)を基盤とする仕組み自体は同じ。コモディティーを裏付けとした暗号資産で実績をつくった上で、金融・産業領域も含む幅広い分野へ、機能提供を図りたい。実装した一部の機能では特許を取得しており、今後の展開において威力を発揮するだろう。
―事業の信頼性確保策は。
暗号資産で銀行(三井住友銀行)が価値を保証しているのは世界でもジパングコインが初だ。ただ、初の取り組みなだけに、スモールスタートで慎重に進めている。マネーロンダリング(資金洗浄)対策やコンプライアンス(法令順守)、情報開示などをしっかり行い、信頼性を損なうことがないようにしたい。(了)