地銀、課題解決に期待=変化も「乗り越えられる」―金融庁の新発田銀行2課長
2022年02月22日 19時21分
セミナーで講演する新発田課長
金融庁監督局銀行第2課の新発田龍史課長は22日、東京都内で開かれたオンラインセミナー(時事通信社主催)で講演した。新発田氏は、地域金融機関が直面する経営環境の変化について「乗り越えられると思っている」と話し、取引先企業の事業特性を見極めた融資や課題解決型の支援などで役割を発揮することに期待を寄せた。
人口減少や低金利など地銀を取り巻く環境は厳しいものの、新発田氏は「地銀にできることは山ほどある」と強調。実現に向けてデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じ、これまで事務作業に従事していた行員を取引先のニーズを把握する部隊に振り向けるなど、組織変革の必要性を指摘した。融資での事業性評価については、「作成が目標ではない。取引先との共通言語ができるのでその先を議論してほしい」と呼び掛けた。
過去の「金融処分庁」のイメージが払拭(ふっしょく)できていないという問いについては、「(誤解を)どう解いていけるかがカギだ」と話し、地方財務局との連携も強化しながらコミュニケーションを活発化させていく姿勢を示した。
銀行の業務範囲拡大の規制緩和を受けて各行からは新事業に関する問い合わせなどが増えているといい、新発田氏は「われわれもスピードアップして審査、実現を積み重ねていきたい」と強調。各行独自の取り組みの進展を望んだ。
一方、売れ行きの良い金融商品が数年ごとに入れ替わる傾向については、「本当に顧客のニーズに沿っているのか」と疑問を呈した。その上で、「行員は『地域のために』という思いで就職したはず」と述べ、顧客の収益改善などを重視すべきだとの考えを示した。(了)