米中対立、資本市場を分断=中国企業の米上場急減
2022年01月18日 18時20分
【ニューヨーク時事】バイデン米政権の発足後も続く米中両国の対立は、資本市場の分断を生んでいる。米証券取引委員会(SEC)は昨年12月、トランプ前政権時代に成立した、米国で上場する中国企業に監査状況の検査を義務付ける「外国企業説明責任法」の詳細を決定。従わなければ、2024年にも上場廃止になる可能性がある。規制強化を受けて中国企業の米上場件数は急減、中国本土や香港市場に回帰する動きが広がっている。
上場企業を担当する監査法人はSEC傘下機関による検査を受ける必要があるが、中国側は国家安全保障を理由に拒否してきた。同法では、外国政府の支配下にないことの証明などを求めるほか、3年連続で検査を拒否した場合は上場廃止とする。SECのゲンスラー委員長は、中国と香港を名指しし、「われわれのルールに従うよう働き掛けていく」と強調。昨年12月以降に始まる会計年度から適用すると表明した。
一方、中国側も昨夏、自国のIT企業が海外市場に上場する場合の事前審査の導入を表明。重要な情報やデータの国外流出防止を理由に締め付けを強化した。情報通信企業などの海外上場には、当局の同意取得を義務付けた。
米国に上場する中国企業は近年増加を続け、昨年5月時点で248社。ネット通販大手のアリババ集団や検索大手の百度(バイドゥ)などの大型上場もあった。ただ、21年の上場件数は前半が35件と高水準だったのに対し、後半は3件にとどまった。
大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤング(EY)によると、米上場の中国企業が中国本土や香港に重複上場したり、同時上場したりするケースが増加。米国での上場廃止に備えた動きとみられ、EYは「米中間の緊張の高まりとともに、22年も増えるだろう」と指摘する。米国では中国企業への投資を規制する動きも進んでおり、両国が歩み寄る兆しは見えない。(了)