中国企業、米市場での上場廃止選択も=「監査強化法」成立で
2020年12月19日 15時30分
EPA時事
【北京時事】米国で18日成立した「外国企業説明責任法」は、米国の会計監査に関する当局の検査を3年連続で受け入れなかった外国企業の米上場廃止を定めるなど、検査を拒んできた中国企業にとって厳しい内容となる。受け入れ困難と判断した企業が相次いで廃止を選択する可能性もある。
中国政府は同法に強く反発している。外務省の華春瑩報道局長は米議会での法案通過後の記者会見で「中国企業に対する政治的抑圧」と批判、「証券分野での監督管理の政治化に反対する」と強調した。
中国企業が検査に消極的な背景には、共産党の影響力が強い独自の会社形態がある。企業の多くは社内に共産党委員会が設けられ、同委トップの書記らが経営陣に加わるケースも少なくない。ニューヨーク証券取引所に上場する国有大手の中国電信(チャイナ・テレコム)や中国移動(チャイナ・モバイル)などは書記が会長を務める。
こうした企業では、取締役は株主総会で決まるものの、書記の人事権は共産党が握っており、党の影響を排除するのは不可能だ。一方、同法は党員である取締役の氏名開示を義務付けるなど、締め付けを強化している。
中国企業の間では米市場撤退を視野に、香港市場に「回帰」する動きも出ている。ニューヨーク証取に上場する電子商取引最大手の阿里巴巴(アリババ)集団は昨年11月、香港証取に重複上場。今年6月にはネットサービス大手の網易やネット通販大手の京東集団(JDドットコム)が続いたほか、IT大手の百度(バイドゥ)も重複上場観測がくすぶっている。(了)