豪国債、大量発行でも市場で吸収=投資家の需要旺盛
2020年04月24日 14時12分
記者会見するオーストラリアのスコット・モリソン首相、4月16日/EPA時事
【シドニー時事】オーストラリア政府は、過去最大規模の資金を過去最低水準の金利で調達した。流動性が高く、最高位の「AAA(トリプルA)」格付けの豪国債に対する需要は旺盛で、大量発行により国債があふれる市場でも吸収された。ロイター通信が21日報じた。
豪州は新型コロナウイルスの感染防止のために経済活動の大部分を停止。諸外国と同様、経済維持に向けて財政を使った巨額の経済対策を打ち出した。
これを受けて対策に必要な財源を調達するため、かつてない規模で借り入れ需要が発生。豪州の信用度や国債の供給過剰に加え、金融システムが大量発行に対処できるのか懸念が生じていた。
しかし、これまでのところ国内外の投資家が買い上げている。豪AMPキャピタルの債券部門でグローバル主任を務めるグラント・ハッセル氏は「豪国債を購入する理由は、信用格付けが高く、将来的に格下げされても比較的高い水準を維持するためだ」と指摘。「1%弱の(豪10年債の)利回りは他のほとんどの先進国よりも高く、依然として魅力的だ」と語った。
豪債務管理庁(AOFM)は今月、115億豪ドル相当の短期債と、それ以外の国債196億豪ドル分を発行した。いずれも過去の水準を大幅に上回った。
同庁は、新たに110億豪ドル相当の発行を計画。最近ではシンジケート団を通じ130億豪ドル分を発行している。
アナリストらによれば、豪政府は2019年度末の今年6月末までに約600億豪ドルの資金を調達する必要があるとみられる。20年度には1500億豪ドル相当の国債を発行する可能性があるという。(了)