鈴木日証協会長:SPAC導入、慎重検討を=情報開示と投資家保護に問題
2021年04月21日 18時08分
日本証券業協会の鈴木茂晴会長
日本証券業協会の鈴木茂晴会長は21日の記者会見で、新興企業などの買収を目的とし、米国で上場が急増している特別買収目的会社(SPAC)の日本での上場について、「慎重に検討しないといけない問題が多い」と指摘した。政府は成長戦略会議でSPACの上場解禁を議論しているが、特に情報開示や投資家保護に懸念があるとの見方を示した。
鈴木氏は、SPACに関して米証券取引委員会(SEC)も注意喚起していると説明。日本は新規公開株式の買い手の多くが個人投資家であり、「(買収先の情報が)何もない中で、個人に売っていくのは若干問題ある」と述べた。
一方、米投資会社アルケゴスとの取引で国内外の金融機関が多額の損失を被ったとされる問題に関しては、「金融システム不安に連鎖する性質のものではない」との考えを示した。ただ、取引していた金融機関を念頭に、リスク管理の面で「個社として改善余地があるのではないかと思う」と話した。
このほか、SBI証券などが若年層を対象に株式売買手数料を無料化する動きについては、「委託手数料に依存した事業モデルには限界があり、新しいモデルの模索が求められている中で、こういう話が出ている」と語った。(了)