月着陸船、スペースX社製に=24年にも打ち上げ―NASA
2021年04月17日 15時02分
【ワシントン時事】米航空宇宙局(NASA)は16日、人類の月面再訪計画で用いる着陸船の開発企業に、米宇宙企業スペースXを選定したと発表した。アポロ計画から半世紀。歴史的な月面再訪が、民間開発の宇宙船で実現する見通しとなった。
計画では、宇宙飛行士4人が次世代ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」で打ち上げられ、うち2人が月周回軌道上でスペースXの「スターシップ」着陸船に乗り換える。月面に降り立つ2人のうち1人は女性を起用する。
トランプ前政権は2024年の月面再訪実現を目指すと表明していたが、バイデン政権はこの目標を引き継ぐかどうか明言していない。米メディアによると、NASAのジャージック長官代行は記者会見で「(スペースXによる開発が)順調に進めば、24年に打ち上げられる」と語った。
スターシップは地球帰還後に再利用できるよう設計されているのが特徴。契約総額は28億9000万ドル(約3100億円)で、専門家の試算によれば、現在の貨幣価値で換算したアポロ計画の8分の1程度だ。
着陸船開発では、アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏が設立した企業ブルーオリジンも名乗りを上げていた。スペースXは有人の月面探査だけでなく、将来は火星探査などにもスターシップを活用する構想を打ち出している。
◇アポロ計画
1961年から約10年間に及んだ米国の有人月面着陸計画。61年、ケネディ米大統領が議会で60年代終わりまでに「月着陸を実現させる」と演説し、68年にアポロ8号で有人月周回飛行に成功。69年、アポロ11号でアームストロング船長らが人類史上初めて月面着陸を果たした。72年のアポロ17号で計画を終了するまで計6回の着陸を行った。70年の13号は酸素タンク爆発で着陸を断念し地球に帰還している。 (了)