速報!大臣会見(小泉進次郎環境・原子力防災担当相)
2021年07月16日 14時14分
きょうは、まずエコチルについて触れたいと思います。7月19日、健康と環境に関する疫学調査検討会を立ち上げ、エコチル調査の今後の展開について検討を開始します。エコチル調査では、これまで主に妊婦および乳幼児の化学物質と健康影響に関する成果が出ています。今回、立ち上げる検討会では13歳以降の調査をどのように進めるか、エコチル調査の成果を社会にどのように効果的に還元するかなどの議論を期待しています。
エコチル調査は全国10万組の親子のご協力によって、今まで継続できています。調査を開始して10年経過したことから、調査にご協力いただいている方に私から御礼のメッセージをお送りしたいというふうに考えています。こうした取り組みを通じて、よりよい環境を守ることが子どもたちの健やかな成長につながっているということを、改めて多くの人に知っていただきたいと思います。
きょうは冒頭、私からは以上です。
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Q、14日にEUの欧州委員会で気候変動対策の新たな計画が発表された。2035年にガソリン車やディーゼル車の販売を事実上禁止する他、環境規制の緩い国からの輸入品に関税を課す国境炭素税の導入なども盛り込まれた。今後、日本にも少なからず影響があると思うが、今回の計画について大臣のご所感を伺いたい。
A、今までもこういう方向性で国際社会が動いてくるというのは織り込み済みですので、今回の発表に特段サプライズはなかったなというのを私は思っています。
まずカーボンプライシングの関係で言えば、炭素国境調整措置、これで対象とされたセクターが具体的に出てきましたが、それについても現実、どれぐらいの影響があるかというのは、直接的なものはまだ軽微だという報道もありますけど、じゃあ間接的に見たときにはどのような影響が出るのか、サプライチェーン全体の把握はかなり難しいと思いますが、今後もしっかりとEUが具体的にどのような制度を設計していくのか、そういったことでも影響はかなり変わってくると思いますので、しっかりと分析をしていきたい、また注視をしていきたいと思います。
そしてガソリン車の販売を、これはハイブリッドも含めて2035年以降はやめていく、この方針も前々からEUとしてはハイブリッドを抜いていく考え方は表明されていたので、その通りになったなと。ですから、今まで国内政策の強化をずっと働き掛けてきました。総理が2035年というふうに明確に年限を言ってくれましたが、その前は2030年代半ばとか、そういう表現でしたよね、調整段階では。そういったことも、より明確に国内の政策が強化されていくように働き掛けもずっとやってきたので、この方向でやはりヨーロッパを含めて海外はいくんだなと。
グローバルなビジネス展開をしている日本の多くの自動車メーカーを含めて、企業としても今後そういったことを本格的に考えなければ、間違いなくマーケットは縮んでいくわけですから、日本がガラパゴスにならないように、われわれとしても政策支援で後押しできることはしっかりやっていきたいなというふうに思っています。
Q、きょう関東が梅雨明けする見込みで来週、五輪が開幕するが、環境省の暑さ指数のホームページを見ると、きょうの段階で「危険」のところも出ている。その点、大臣の受け止めをお願いしたい。
A、きょうオリパラの会議も官邸で閣議の後に開催されて、私も出席をしましたが、関係者の皆さんに暑さ指数がリアルタイムで分かるような表示盤とか、そういったものも今回、会場に設置をする予定でいます。無観客ですから、観客の皆さんということの対象というよりも、関係者の皆さんに注意喚起を促すということがメインだと思いますが、今回もう既に警戒アラートが出ている地域も多数出てきている中で、さらに今年の夏は開催期間中、例年よりも暑くなる、そういう予想が出ています。
ですので、熱中症で亡くなる方も多い中で、今年の夏はさらに警戒をしていただくためにも、ぜひ多くの方に熱中症警戒アラートが届くようにアプリの活用などを進めていただきたい。われわれも熱中症対策として、その取り組みも強化をしていきたいと考えています。
Q、来週のG20に向けて、どのような気持ちで臨むのか伺いたい。
A、来週のG20でイタリア・ナポリに伺いますけど、やはりG7で合意したことをどのようにG20で共有できるか、こういったことが一つのポイントではありますが、そんなに容易なことではないと思っています。ただ、久しぶりに閣僚同士が直接会う場です。そういった中で、やはり今回のG20の場も通じて共有をしたい一つのポイントは、COP26に向けて特に6条、この市場メカニズムも含めて何度かパリ協定のルールブック、これをしっかりと完了させるんだ、交渉を妥結させるんだ、この意思を少しでも多くの国々と共有したい。そして今後展開をされていく予定のさまざまなCOP26までの外交日程がありますけど、そこにつながるような形にしていくことが大事だろうと。
G20になれば中国、インド、ブラジルを含めてG7にはいない国々かつ排出が多い、そして考え方として多様な考え方を持っているプレーヤーが入ってくるので、G7の通りにはいかないと思います。ただ、そういったことも、もう関係国でも理解をしていることなので、いかに違うところを見ずに同じような方向性を見いだしてG20としての発信、まとめることができるかというのがポイントだと思います。
われわれとしては例えば今、国内で進めている取り組みが、かなりヨーロッパの方はサーキュラーエコノミーの関心も高いので、日本が国内でプラスチック法という国内法制もしっかりと整備したこと、それにイタリアとしても随分この分野も関心があるというのも聞いていますので、例えばイタリアはファッションで有名ですよね。
今、日本の環境省としてもホームページを見ていただければ、サステナブルファッションのホームページを立ち上げたように、世界の中では世界第2位の環境汚染産業とも言われている、このファッション分野をどのように持続可能に環境負荷の低いものにしていくかということも、関心が高いと聞いています。
われわれとしても貢献できるところがあると思うので、しっかりと今、日本がやっていることも発信をしていきたい、そういうふうに考えています。
Q、炭素国境調整措置は、日本の製造業の輸出にとっては大きな打撃になる可能性があると思う。そのメルクマールというか、日本の製造業のCO2の排出量はEUの水準に比べると低いのか高いのか、その辺の認識はいかがか。
A、まず、それはEUがこれからどういう制度を詳細設計していくかによると思いますね。EUの中でも国によって炭素税をどこまで見るか、これは国によってばらつきますし、われわれ日本としても、じゃあ、この炭素国境調整措置との関係で、どのようにカーボンプライシングが国内の水準だというふうに捉えて、その制度と調整をするのか、これはまさにこれからだと思います。ただ、いずれにしても、環境対策が甘い国からヨーロッパのような国に流れ込むものを負担をかけていくという話ですから、グローバルにビジネスを展開している日本の企業にとって、この影響は多かれ少なかれ出てくるだろうと。
そういった中で、日本の国内の対応が不十分なことで国際的なビジネスを展開している企業に不利益が起きるとか、そういったことがないようにするためにも、やはり国内対策をしっかり、どうやるかということが改めて大事だということが今回でも明らかになっているところで、骨太の方針でカーボンプライシングについても、ちゅうちょなく取り組む、こういった文言を入れていますから、まさに今後、日本の中でのカーボンプライシングの在り方を議論する上で、やはりこのEUの動きも含めて、より関係者が同じような危機感と認識を持って議論を丁寧に進めていきたいと、そういうふうに考えています。
Q、中国の影響が非常に国際的には大きくなると思うが、日本の場合、最大輸出国が中国である。CO2対策の強化を提携して、そこにスキームを作っていくのか、それとも製造業の輸出、これも経済的には非常に大きいので、そういうところを優先していくのか、その辺の考え方の整理を政治家として伺いたい。
A、まず国際社会、G7で一致したことは、排出が多いG7以外の国々に対しても、排出をより抑制する政策強化を求めていく、これで一致しているわけですね。ですので、今のシミズさんのご質問を私なりに理解をすると、炭素国境調整措置のような形で厳しいハードルを課すマーケットに挑むよりも、そんなに気候変動対策を重視しない、かつ大きなマーケットである中国とかに輸出対象を持っていった方がビジネスとして楽なんじゃないかという、そういう思いもあるのかなと。そういう捉え方を私はしたんですけど、結果は中国を含めて、パリ協定のメンバーなんです。
ですから今後、大きな方向性で見たときに、決してCO2対策、気候変動対策をやらないと言っているわけではなくて、方向性としては間違いなくマーケットは脱炭素のマーケットに向かっていくわけですよね。ですから、時期的な国による違いもあると思います。いつの時点で脱ガソリン車になるのか。
もしかしたらヨーロッパが世界的には先駆けて、脱ガソリン車のマーケットになるのかもしれませんが、いずれにしても、中国はそういう方向にいくと言っていますよね。ですから日本にとっては、もう縮小していくマーケットが分かっているなら、早く成長していくマーケットの方でどのように日本企業の利益を、また国家としての力を、産業競争力を付けていけるのかということに早くいった方がいい、私はそういう発想で国内対策もしっかりと強化していきたいと。
そのためにも大事なのは、やはり非常に取り組みを先導的に進めている日本の企業が多く出てきましたから、その企業たちが報われるような制度設計をさまざま、しなきゃいけないし、きょう日経新聞の1面にも分かりやすく載っていましたけど、やはり各国の気候変動対策、脱炭素対策と比べたときに、日本の予算規模は圧倒的に少ないんですよね。私は、安倍政権からの環境大臣を務めている中で、当初1年9カ月前、私が大臣に就任したときと比べたら、間違いなく脱炭素の歯車は回ってきたと思います。
自治体が動き、企業が動き、政府としても2050年カーボンニュートラルと46%、50%。ただ全体として、より大きな歯車を回していくときに、あと何が欠けているかというと、一つはカーボンプライシング、そしてもう一つは、欧米の規模と遜色ないようにする国としての意思を示す大規模な予算、投資。私はやっぱり、そこの欠けている部分をどうやって埋めていくかというのは、ずっと訴えていることですから今後、補正予算、今、一部で話も出ています、まだ正式には来ていませんが。
そして来年度の当初予算。環境省は正直に言って、予算で勝負する省庁ではなくて、ルールで勝負する省庁ですから、私は予算ありきだとも思いませんが、ただ政府全体としては、間違いなく気候変動対策、そして脱炭素の投資を促進するような大型の予算、こういったものが私は不可欠だと思いますので、そういったことも政府内でしっかりと私なりの思いを伝えていきたいと思います。
Q、来週のG20の後に開催される関係閣僚会合に大臣も出席される予定だと思う。この時期に集まることは少し異例とも思うが、今回の会合の意義と期待することを教えていただきたい。
A、これはG20、さっきのカワナさんの質問にも関連するんですけれども、やはりずっとリモートを続けてきて、オンラインでのバイ会談やマルチを重ね続けてきたんですね、このコロナ禍の中で。しかしシャルマCOP議長、そして他のさまざまな国々の大臣たちと交流をする中で、やはり直接会って話さなければ、何とかCOP26で交渉を妥結させるんだという、まずは大臣間での政治的な意思をしっかりとつくっていくという作業が必要じゃないかと。正直、世界の中でも途上国も含めて、スムーズにデジタルの対応が交渉の中でもできるかというと、デジタルでやる、リモートでやり続けるということに対しても賛否が起きているんです。
そういった中で、そうは言っても、この感染状況の中で、リモートと、そして実際に会うことのハイブリッドでやる中で、いかにCOP26までの中で大臣同士の意思を共有するかというところは不可欠だろうという議長国の考え方もあり、私はそれも賛同していますから。実際、このG20の機会に非公式だけども集まろうと。その非公式の場を通じて、率直な、それぞれ置かれた状況とかCOP26に向けて意思を共有するような、何とかCOP26で最後の残された宿題である6条の交渉を妥結させる、こういった意思を共有する場になることを期待しています。
日本としても、COP25で私も相当対立する国々の間を走り回りましたから、そういった経験なども共有をした上で、シャルマ議長をしっかりと支える場になればと思います。
Q、大臣は、ワクチンは大丈夫か。
A、ワクチンは最近、1回目を打ちました。1回目を打って、その間、4週間、私、モデルナですので、空けなければいけないので、時期を考えたときに今回、来週からイタリア、ロンドンに行く期間、そして帰ってからの隔離期間、隔離期間中に2回目の接種ができないので、そういったことを考えて今週、1回目を打って、帰ってきて隔離措置が明けたときに2回目、そういった今、予定を立てています。
Q、先ほど小泉大臣が脱炭素へ向けて、欧米諸国に対して日本は圧倒的に投資や予算が少ないとおっしゃっていた。政府全体として、これを増やさなければいけない。ということは、大型炭素税が一つの選択肢になると捉えてよいか。
A、カーボンプライシングはいろんな手法がありますが、間違いなくカーボンプライシングをより高い水準に持っていかなければ、脱炭素の歯車は回らない、これはずっと言い続けていることであります。大臣に就任した当初は、政府全体の認識ではありませんでした。それが今では骨太の中にも、ちゅうちょなく取り組むということに入ることがあって、さらに予算規模が欧米と比して圧倒的に小さい、これをさまざまな場で私は訴えていました。
それが今回の骨太で、重点予算の筆頭にグリーン社会の実現。ですので、確実に今まで環境省から発信してきたことが、環境省だけじゃなく、政府全体になってきたので、あとはこれから、規模としても中身としても、量だけではなくて、質も伴わなければ、めりはりが効かなければ意味がありませんから、そこにつなげていけるように。概算要求は来月、締め切りですし、仮に経済対策という話になれば、そういったことも見据えながら、しっかり政府全体の明確な脱炭素の民間の投資意欲を巻き起こすような、そういったものにつなげていかなければいけないなと感じています。(了)