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日本の影響回避不透明=減免可否が焦点―EUの国境炭素税

2021年07月15日 20時59分

EPA時事EPA時事

【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)欧州委員会は、域外からの輸入品に「炭素価格」を賦課する「炭素国境調整措置(国境炭素税)」の導入案を発表した。賦課金の減額や免除を受けられる仕組みとなるが、詳細はまだ定まっていない。「カーボンプライシング(炭素への価格付け)」の取り組みに遅れる日本が、将来的に影響を回避できるかは不透明だ。

 欧州委が示した案では、EUの排出量取引制度(ETS)で取引されている「排出枠」の価格を基に、輸入品の製造過程で生じた温室効果ガスの排出量に応じて賦課金の額を算出し上乗せする仕組みだ。3年間の移行期間を経て、2026年から実際に徴収を始める。

 ただ、EUに輸出する企業が自国内で「炭素価格」を支払い済みだと証明できれば、その分は控除可能となる。

 まず想定されるのは、EUのようなETSを導入している場合だ。すでに韓国やカナダが類似制度を持つほか、中国も今年運用開始。米国ではカリフォルニアなど一部の州が導入している。

 一方、日本では全国的制度は未導入。政府が検討する本格的なカーボンプライシングの議論も方向性は見えない。現状では化石燃料に課す「地球温暖化対策税」などの導入済みの制度で理解を求めることになりそうだ。

 欧州委は「EUとは異なる価格付けの仕組みもある」(高官)と、証明方法については柔軟な姿勢を示す。しかし、日本政府の関係者は、今後の協議次第では「競争上不利になる可能性も捨て切れない」と警戒する。

 国境調整措置の対象は当面、鉄鋼とアルミニウムなど一部分野に絞られる予定。EUに輸出するのは主にロシアやトルコ、中国などで、日本への影響は当初限定的とみられる。しかし、将来的には自動車などにも対象が拡大される可能性もあるだけに楽観はできない。(了)

 

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