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〔解説〕慎重な議論必要=銀・証の情報共有規制緩和

2021年06月10日 21時28分

時事時事

 銀行と証券会社の情報共有規制が上場企業に限り緩和される方向となった。ただ、この規制をめぐる議論は銀証の「縄張り争い」の色彩が濃く、顧客企業がメリットを実感できていないのが現状。規模が小さく、金融機関に対する発言力が弱い非上場企業に規制緩和の範囲を拡大するかどうかは、より慎重な議論が求められる。

 日本では、資金調達を銀行融資に依存する企業が多く、銀行の支配力が強いとされる。このため、銀行が有利な立場を利用して系列証券との取引を強いるといったことがないよう、銀証間には企業の同意のない情報の行き来を制限する「ファイアウオール(防火壁)」が設けられた。現在、欧米ではこうした事前規制はなく、日本では銀行界が緩和を求めていた。

 一方、大手企業の間では、銀行に同調する声は多くはない。作業部会の議論をめぐっても、銀行と証券に対し機械的に自社の財務情報の共有を認めるのではなく、「共有範囲は自社で管理したい」との強い要望が出ていた。

 金融庁は今後、銀行に対して立場がさらに弱い非上場の中堅・中小企業の情報共有についても、作業部会で検討する。

 証券関係者は「議論はまだ5合目。9月以降の議論で要望を反映させたい」と語り、規制緩和の範囲拡大を食い止めたい考え。銀行関係者は「(経営者の高齢化に伴う)中小企業の事業承継に対処するためにも、さらなる緩和が必要」と次の「一戦」へ備える。

 今後は、顧客にメリットをもたらす銀証連携の具体例を示す必要がある。銀行から不本意な取引を強いられることのない仕組みの議論も不可欠だ。(了)

 

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