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〔ブル&ベア〕日銀ETF、5月買い入れなし=4月も1回、一足早く出口戦略?

2021年06月01日 12時50分

オンライン形式の内外情勢調査会で講演する日銀の黒田東彦総裁=5月19日オンライン形式の内外情勢調査会で講演する日銀の黒田東彦総裁=5月19日

 5月は日銀による指数連動型の上場投資信託(ETF)買い入れが行われなかった。日銀が最後にETFを買い入れたのは4月21日。5月は米国の物価上昇に伴うテーパリング前倒し観測などから世界的に株価は荒れ模様となり、11日には東証株価指数(TOPIX)の下落率が大引け時点で2%を超えるなど中旬にかけて日本株全体が大きく水準を切り下げたが、日銀の買い入れは行われなかった。市場では「質的緩和については、一足早く出口戦略が始まっているのかもしれない」(国内証券)との声も聞かれる。

 4月も日銀の買い入れは21日の1回だけだった。同日の前場のTOPIXの下落率は2.17%。5月11日前場の下落率は1.98%。単純に考えれば「前場のTOPIXが2%超下落」が新たなETF買い入れ発動基準とみることもできる。しかし、3月の金融政策決定会合後の買い入れ実施のTOPIXを見ると、3月22日、同30日の前引けの下落率は1%台にとどまる。ETF買い入れの発動基準ははっきりしない。

 日銀の巨額な買い入れにより浮動株が減少。市場の価格発見機能の低下や、価格の不安定化など、弊害に目が向きやすくなっている。日銀もこうした問題点は認識していると思われる。前出の国内証券は、相場が一時的に混乱しても動かないことで、「出口を市場に織り込ませ始めている」とみる。

 もっとも、日銀による買い入れ頻度の低下が市場でことさら話題になっている様子はない。TOPIXは3月の高値から約5%調整したが、依然、バブル崩壊後の最高値圏に位置しており、需給の下支え役に対する興味は薄れているようだ。(12時38分)

 

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