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東芝、迫られた株主還元=「物言う株主」に対応―キオクシア株売却

2020年06月22日 19時27分

インターネット会見で株主還元の考え方を説明する東芝の車谷暢昭社長=2020年6月22日インターネット会見で株主還元の考え方を説明する東芝の車谷暢昭社長=2020年6月22日

 東芝<6502>が22日、約40%を出資する半導体大手のキオクシアホールディングス(HD)株式の一部を売却し、売却益の過半を株主還元に充てる方針を明らかにした。旧村上ファンド系など「物言う株主」の要求や圧力に対応を迫られた形だ。投資ファンドの影響力は一段と強まっており、さらなる対話が求められそうだ。

 東芝は、ファンドからの圧力を無視できず、上場後に多額の含み益が生じるキオクシアHD株の段階的な売却に踏み切ることにした。車谷暢昭社長は同日のインターネット記者会見で、「再建を支援してくれた株主に積極的に還元する」と説明した。

 また東芝は、7月31日開催の定時株主総会に向け、大株主である旧村上ファンド系のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントと3D・オポチュニティー・マスター・ファンドから、推薦する取締役候補の選任を求める株主提案を受けたことを明らかにした。いずれも企業統治の強化や企業価値の向上などが狙いという。東芝は両ファンドの提案に反対する考えを表明した。

 エフィッシモの東芝株保有比率は15%超に上昇し、影響力は増している。東芝は対話を通じ、ファンドが求める企業統治の強化や事業運営の改善に取り組む必要がありそうだ。持続的な株主還元には本業による収益拡大も欠かせない。2015年の不正会計発覚以来、主力事業を次々売却した東芝にとって成長の核となる事業の確立が急務だ。(了)

 

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