東芝に2兆円買収提案=英ファンド、非公開化で統治見直し―1株5000円で
2021年04月07日 22時54分
英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズなどが東芝<6502>に買収を提案したことが7日、分かった。「物言う株主」との対立が続く東芝の株式を非公開化した上で、企業統治体制を抜本的に見直し、経営判断を速める狙いとみられる。買収額は2兆円を超える可能性がある。
東芝は同日午前、取締役会を開き、対応を協議した。関係筋によると、執行役による検討チームに加え、社外取締役も投資家保護の観点から提案を検証。本格提案を待って結論を早急にまとめる。CVCはTOB(株式公開買い付け)を検討し、他ファンドなどにも参加を呼び掛ける。6日終値を3割程度上回る1株5000円での買い取りを提案したという。
車谷暢昭社長は、CVCの日本法人会長を務めていた。株式を非公開化すれば、物言う株主からの経営に対する介入を排除し、経営判断の機動性を確保できる。ただ、東芝は原子力事業を持ち、外資の出資に際しては改正外為法の規制を受ける。今後の展開は不透明だ。
東芝は2015年の不正会計や17年の米原発子会社の破綻で債務超過に転落し、東証2部に降格した。上場廃止を避けるため、同年12月に約6000億円の増資を実施。18年には元三井住友銀行副頭取の車谷氏がトップに就き、経営再建に着手。今年1月、東証1部に復帰した。
この間、増資の引き受け手となった投資ファンドとの対立も先鋭化した。昨年7月の定時株主総会では、旧村上ファンド系の筆頭株主エフィッシモ・キャピタル・マネージメントなどが独自の取締役候補の選任案を提出。この提案は否決されたが、総会が公正に運営されたか検証を求めたエフィッシモの提案が今年3月の臨時総会で可決され、第三者の弁護士が調査に乗り出している。
買収提案が報じられると、東京株式市場では東芝株に買い注文が殺到。7日は制限値幅の上限となる前日比700円(18.3%)高の4530円で終了した。(了)