〔ウォール街報告〕長期金利上昇を反映した健全な調整局面=ホリコCM・堀古氏
2021年03月16日 08時43分
ホリコ・キャピタル・マネジメント社長・堀古英司氏=米国株式相場は2月半ばから、約4カ月ぶりの調整局面に入ったようだ。投資家の不安心理を示すVIX指数は新型コロナウイルスの感染拡大後は総じて20以上で推移してきたが、一方で大きな調整というのは2020年9月の9.6%と10月の7.5%(いずれも日次終値ベース)の2回あっただけで、その後ほぼ右肩上がりの相場が続いてきた。ビットコインや一部銘柄には投機的な動きが散見され、いわゆる「質の悪い相場」になっていた。しかし質の悪い相場というのはファンダメンタルズに弱いものである。米10年物国債利回りは今年1月になって1%台に乗り、2月に入って騰勢を強め、1.5%を超えるに至った。
20年9月や10月の調整の要因は実質金利の上昇であった。10年物実質金利は一貫してマイナスの状況が続いているが、実質金利のマイナス幅が縮小すると相対的に株式の優位性が薄れる。9月も10月も、いずれも実質金利のマイナス幅が縮小したことが株式相場調整の引き金となった。そして今回、9月と10月に起こった合計に匹敵する実質金利マイナス幅の縮小が起こっている。これは9月や10月単体よりも長いか、深めの調整につながる可能性があるということだ。
しかしそもそも、長期金利の上昇は新型コロナウイルスの感染拡大がピークアウトし、ワクチンが普及をはじめ、経済が正常化することを反映したものだ。急速な長期金利上昇が株式相場を調整させることはあっても、今回の上昇局面を終わらせることはない。新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以来最も長い、または深い調整になるかもしれないが、逆に言えば長い上昇局面の中の、健全かつ必要な調整過程ということだ。(了)