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日銀、利下げ余地明確化へ=政策点検、ETF購入は柔軟化―18、19日決定会合

2021年03月11日 19時20分

 日銀は18、19日の金融政策決定会合で、現在の金融緩和策を点検する。長短金利に引き下げ余地があることを明確化するとともに、上場投資信託(ETF)の購入を市場環境に応じ柔軟化するのが柱。新型コロナウイルス禍で大規模緩和の長期化が避けられない中、金融機関や市場への副作用にも配慮した持続的な政策の在り方を探る。

 日銀は現在、短期金利をマイナス0.1%とし、長期金利を0%程度に誘導。しかし、貸出金利の低下による金融機関の収益悪化懸念から、市場では「これ以上の利下げは困難」との見方が強い。これに対し、雨宮正佳副総裁は8日の講演で「(市場の)見方を改めてもらう必要がある」と強調した。

 点検では、副作用を抑制しつつ、感染症の急拡大や国際情勢の不安定化などに伴う経済の動揺に備えてマイナス金利の拡大が可能との方向性を打ち出すとみられる。

 黒田東彦総裁は5日の衆院財務金融委員会で、0%を中心にプラスマイナス0.2%としている長期金利の変動幅について、「大きく拡大することが必要とも適当とも思っていない」と明言。一方、日銀内には、債券売買で利益を得る機会を確保して市場の機能を維持するため、変動幅拡大を求める意見があり、この点も議論となりそうだ。

 日銀はまた、12兆円を上限に年間6兆円のペースでETFを購入する方針で、2月末時点の保有残高は簿価ベースで35兆円を超えた。一方、日経平均株価はバブル崩壊後の最高値水準で推移し、日銀に支えられた「官製相場」との指摘もある。このため、株価の上昇局面では買い入れを減らし、下落時に増やすといった柔軟な運用を目指す。(了)

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