〔週間指標予測〕GDP、改定値ほぼ変わらず=1月消費支出、2カ月連続マイナス
2021年03月05日 15時13分
来週(8~12日)は、2020年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値(内閣府、9日)、1月の家計調査(総務省、9日)や景気動向指数(内閣府、8日)などが公表される。民間エコノミストによる事前予想(中央値)をまとめると、GDPは最新の統計結果が反映されても、全体では速報値とほぼ変わらないとみられる。実質消費支出は2カ月連続の前年割れ、景気の一致指数は3カ月ぶり上昇することが予想される。
実質GDPの予想は前期比3.0%増、年率12.6%増と、速報値の前期比3.0%増、年率12.7%増から同水準となる見込み。2日公表の法人企業統計の結果から設備投資が前期比4.2%増(速報値4.5%増)と下方修正されることが予想されるが、公共投資などその他項目に上方修正が見込まれることから、GDP全体には影響がないとみられる。エコノミストからは「輸出と個人消費をけん引役として2四半期連続の高成長となり、速いペースで持ち直しが進んでいたことが改めて確認される」(第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト)との声が聞かれた。
家計調査の1世帯当たりの実質消費支出は前年同月比2.2%減が予想される。新型コロナウイルス感染「第3波」に伴い緊急事態宣言が再発令されたため、外出を控える動きが広がり飲食業やサービス業を中心に消費が抑制されたとみられる。予想通り前月(0.6%減)から減少率が拡大すれば、1~3月期の個人消費の落ち込みを示唆することになりそうだ。
景気動向指数は、足元の景気を示す一致CIが前月比3.3ポイント上昇する見通し。強い外需を背景に高い伸びを示す生産指数や出荷指数などが一致CIの押し上げに寄与する見込み。内閣府の景気判断は「下げ止まり」から「上方への局面変化」へと上方修正される可能性が高い。
来週はこのほか、8日に1月の国際収支(財務省)、9日に2月のマネーストック(日銀)、11日に2月の企業物価指数(同)が公表される。
国際収支は経常収支が1兆2296億円の黒字予想。貿易黒字の拡大が一服するものの、1兆円台の黒字幅を維持する見込み。
マネーストックでは、M3の平均残高が前年同月比7.9%増、M2は同9.5%増と、いずれも伸び率が過去最高となった前月から拡大する予想となった。緊急事態宣言の延長に伴い手元資金の高い需要を反映するもよう。
企業物価指数は前年同月比0.7%下落。原油や非鉄金属など商品価格の上昇を受け、前月に比べ前年比の下落幅が縮小する見込み。(了)