〔株安反響〕株価調整の分水嶺=ニッセイ基礎研・井出氏
2021年02月26日 14時24分
井出真吾ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジスト=日経平均株価は、米国市場での株安を嫌気して急落した。
背景にあるのは米国での金利急騰で、特に5年債の利回り上昇だ。10年債だけの利回り上昇であれば景気拡大を先取りした良い金利上昇との見方もできるが、5年債も上がったことで株式への投資魅力が薄れた。また米連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和終了が、景気の急回復で市場の期待より前倒しされるかもしれないとの思惑も広まった。
現時点では、株安は一時的なものにすぎないとみているが、本格的な調整に入る可能性も否定できない。株式相場は分水嶺(れい)にさしかかっている。
ポイントは、米国の実質金利、株式の利回りから10年債の利回りを差し引いたイールドスプレッドだ。実質金利がさらに上昇したり、イールドスプレッドが3%を大きく下回るようなことになれば、リスクを取ってまで株式へ投資せず、債券に資金を振り向ける動きが強まるだろう。(了)
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