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デジタル税交渉、年内合意に暗雲=米国が中断、新興国は独自課税

2020年06月18日 16時38分

AFP時事
AFP時事

 【ワシントン時事】巨大IT企業の過度な節税を防ぐ「デジタルサービス税」をめぐり、経済協力開発機構(OECD)が主導する国際ルール交渉の年内合意が暗礁に乗り上げる恐れが出てきた。標的にされた米国が反発、交渉中断を要請したためだ。新型コロナウイルス危機で財政が悪化した新興国が独自に課税する動きも見られ、国際協調は一段と危うくなっている。

 「GAFA」と呼ばれる米IT大手4社(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)に対しては、適正な課税を求める声が強まっている。新型コロナ流行や米欧の意見対立でOECDの交渉は遅れ、合意目標を当初の7月から10月へ延期した。

 一方、財政事情が厳しさを増す新興国は米IT大手からの税収へ期待を強めている。インドネシアは5月、インターネット需要増加を受けて外国IT企業の課税強化を決定。インドも一部外国企業のデジタル広告を対象に課税を広げた。アフリカではケニアがオンライン取引税の導入を決めている。

 米財務省は17日の声明で「世界各国が新型コロナ対応と経済再開に注力している間は交渉を中断するよう要請した」と述べた。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は議会証言で「交渉離脱」にまで言及、独自に課税した国・地域には制裁関税も辞さないと訴えた。

 ルメール仏経済・財務相は、米国の対応に対し「挑発行為」と反発。英財務省は「世界全体での解決が望ましい」と強調した。ピーターソン国際経済研究所は「いま国際交渉が漂流すれば、無秩序な課税が相次ぎ収拾がつかなくなる」と分析している。(了)

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