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〔海外速報ニュース〕中国の20年穀物輸入、28%増=東北ではコロナ禍の影響深刻

2021年01月19日 16時16分

EPA時事EPA時事

 中国ニュースサイト、新浪新聞が18日までに伝えたところによると、中国税関総署がこのほど発表した2020年の中国の穀物輸入量は1兆4262万トンと、前年比28%増加した。中国では昨年、夏から秋にかけて深刻な天候不順に見舞われ、穀物生産への影響が高まった。当局は国内生産の不振がもたらす食品価格の高騰を抑えるため、穀物輸入の拡大に力を入れている。

 国内農産物市場には、先高感から大量の投機的資金も流入。内外価格差も拡大しており、国産の小麦、コメ、トウモロコシの価格は現在、国際相場を1トン当たりそれぞれ230元、100元、750元程度上回っている。

 このうちトウモロコシは、天候不順で国内生産が低迷する一方、豚肉生産量の回復に伴う飼料需要が急増している。農業農村省の市場預警(リスク予測)専門家委員会はこのほど、20~21年度の飼料用トウモロコシ消費見通しを1億8500万トンと、前年度比1100万トン増加するとの見通しを明らかにした。

 国内の穀物商社は海外での買い付けを活発化しており、畜産用飼料最大手の新希望六和はメディアの取材に対し、原料調達の多様化を進め、輸入品の割合を拡大する方針を示した。米農務省(USDA)の穀物需給報告によると、20~21年度の中国のトウモロコシ輸入量は2200万トンに達する見込み。

 穀物主要産地の東北地方(黒竜江省、吉林省、遼寧省)では最近、昨秋に収穫された穀物の買い付けシーズンを迎えたが、新型コロナウイルスの流行再燃で大きな支障が出ている。うちロックダウン(都市封鎖)が実施された黒竜江省綏化市は、省全体の穀物生産の15%を占め、関連業者が集積しているが、人の移動の停滞や原料不足により、事業活動に支障が生じている。

 一方、飼料加工業者の間では、トウモロコシの代替品として、小麦やコメを調達する動きも出ている。

 中国は近年、食糧安全保障に警戒を強めている。国家食糧・物質備蓄局の幹部は先に、国内の穀物生産はぎりぎりに自給できる状態が続いており、新型コロナのパンデミック(世界的流行)や国際情勢の悪化など不安定要素が増す中、中国の食を取り巻く環境は一段と厳しくなる恐れがあると懸念を示している。(上海時事)

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