〔指標予測〕11月の鉱工業生産、前月比1.2%上昇=28日発表
2020年12月25日 12時36分
◇11月の鉱工業生産指数速報値の予測一覧(単位:前月比%) 《経産省発表》
JPモルガン証券 +2.5
みずほ証券 +2.1
SMBC日興証券 +2.0
日本総合研究所 +1.5
三菱UFJリサーチ&コンサルティング +1.4
モルガン・スタンレーMUFG証券 +1.4
みずほ総合研究所 +1.3
シティグループ証券 +1.2
大和総研 +1.2
ニッセイ基礎研究所 +1.2
大和証券 +0.9
信金中央金庫 +0.9
第一生命経済研究所 +0.8
農林中金総合研究所 +0.6
BNPパリバ証券 +0.6
クレディ・スイス証券 +0.5
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 +0.5
三井住友DSアセットマネジメント +0.3
野村証券 +0.3
【中央値】 +1.2
【平均値】 +1.1
【10月】 +4.0
製造工業生産予測
【11月】 +2.7
(経産省試算値の最頻値 +0.4)
【12月】 -2.4
▽南武志・農林中金総合研究所主席研究員=11月の実質輸出指数は前月比2.6増%でカ月連続の上昇と、回復を継続。地域別には中国、米国向けに続き、EU、東南アジア向けもコロナ前の水準まで戻った。財別に見ても、自動車、情報関連だけではなく、資本財もこのところ増加傾向が強まっている。こうした輸出動向にけん引される格好で、6月以降、製造業の生産活動も回復傾向を続けてきた。ちなみに、11月の製造工業生産予測指数(予測誤差を修正した試算値)も0.4%上昇と微増とはいえ、上昇が見込まれている。以上から、鉱工業生産は6カ月連続の上昇と予想する。
先行きについては、欧米で新型コロナの感染拡大によって経済活動の再停止を余儀なくされていること、米国での自動車販売の鈍化、さらに中国経済がコロナ前の成長経路へキャッチアップする過程が終了しつつあることなどにより、減速が見込まれる。12月の製造工業生産予測指数は前月比1.5%低下、1月は0.5%上昇と、一進一退と予想する。
▽下田裕介・日本総合研究所主任研究員=これまで生産の持ち直しをけん引してきた輸送機械の増産が一服するものの、生産用機械や電子部品・デバイス、鉄鋼などが下支えすることから、全体では6カ月連続の前月比上昇となる見込み。
▽角田匠・信金中央金庫上席主任研究員=輸出が底堅く推移していることから生産も6カ月連続の前月比プラスが見込まれるが、輸送機械の増産一服などで伸び率は鈍化しよう。新型コロナの感染再拡大を受けて海外では経済活動を制限する動きが広がっており、当面の回復ペースも緩慢にとどまる公算が大きい。
▽棚橋研悟・野村証券エコノミスト=製造工業生産予測調査を見ると、11月の製造工業生産は前月比2.7%上昇が見込まれていたが、経産省による予測誤差修正後ベースでは0.4%上昇と小幅な増加にとどまる見込みである。11月の製造業PMI・生産高指数も前月差0.1pt増加の48.8と横ばいにとどまった。6月以降、鉱工業生産は高い伸びを続けてきたが、11月は前月比0.3%上昇とわずかな増加にとどまったと予想する。
▽川畑大地・みずほ総合研究所エコノミスト=ペントアップ需要の一巡や欧米諸国の感染再拡大を受けて輸送機械工業の減産が予想されるものの、輸出の増加を背景に半導体製造装置等の生産用機械の増産が見込まれることから、鉱工業生産は前月比プラスとなる見通し。
▽新家義貴・第一生命経済研究所主席エコノミスト=前月比0.8%上昇と6カ月連続のプラスを見込む。輸出の増加を主因として生産は回復傾向が続いている。もっとも、これまでの上昇をけん引してきた自動車でペースダウンがみられていることから、生産の伸びもこれまでより鈍化する可能性が高い。
▽藤田隼平・三菱UFJリサーチ&コンサルティング研究員=鉱工業生産は、生産用機械工業や電子部品・デバイス工業など資本財関連の業種を中心に、前月比1.4%上昇と6カ月連続で増加すると予測する。
ただし、これまで生産の持ち直しをけん引してきた輸送機械工業の持ち直しに一服感が出てきており、足元では新型コロナウイルスの感染も再拡大していることから、今後、鉱工業生産の持ち直しも足踏みとなる可能性が高まっている。
▽末広徹・大和証券シニアエコノミスト=挽回生産が続くことで、6カ月連続の増産になると予想。予測調査にあったように、輸送機械工業はいったん増産基調が止まる見込みだが、電子部品・デバイス工業などの増産が見込まれる。
▽鵜飼博史・JPモルガン証券チーフエコノミスト=11月の鉱工業生産は、前月比2.5%上昇と、10月の4.0%の大幅上昇に引き続き堅調な増加となるだろう。夏場の生産調整後の国内外の自動車需要回復がここまでの生産活動改善をけん引してきたが、11月にはこれが自動車以外の産業に広がりを見せると予想する。
▽丸山義正・SMBC日興証券チーフマーケットエコノミスト=前月比2.0%上昇と6カ月連続で増加しよう。前月時点で経済産業省が公表した生産予測を下回るものの、予測の補正値を上回る見込みだ。このところ生産の伸び率が生産予測とその補正値の間で着地するケースが多い。また、既に発表された11月の貿易統計に基づけば、実質輸出の増加(SMBC日興証券経済分析チーム試算で前月比3.5%増)が続いている点も踏まえた。
業種別では、これまで全体をけん引してきた自動車工業の増産ペースが鈍る可能性があるものの、海外の設備投資需要持ち直しにより、生産用機械工業の増産が続こう。先行指標である機械受注統計では外需の増加が確認されている。
ただし、11月に予想並みの増産となっても、コロナ禍前の水準には届かない。生産水準は、コロナ禍前のピークであった1月と比べ、5月に79%程度へ急低下した後、回復傾向をたどったが、11月は依然として97%程度へ戻るにすぎない。実質輸出はコロナ禍前の水準を上回ったが、国内の設備投資が低迷している。生産がコロナ禍前の水準に戻るのは年明け以降となりそうだ。
▽宅森昭吉・三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミスト=前月比0.3%程度の上昇を予測する。6カ月連続の前月比上昇になろう。製造工業生産予測指数は前月比2.7%上昇。一方、過去のパターン等で修正した機械的な補正値の先行き試算値最頻値は0.4%上昇、90%の確率に収まる範囲は1.3%下落から2.1%上昇になっている。
11月の日銀実質輸出は前月比3.6%増加である。一方「日経NEEDS」によると財務省の貿易統計11月分速報値で輸出数量指数(季節調整値)の前月比4.0%減少になった。
11月の景気ウォッチャー調査で、製造業・現状水準判断DI(季節調整値)は34.7と、10月の34.3から上昇、5月の15.8を底に6カ月連続の上昇となった。これらの情報を総合的に判断し予測した。 (了)
発表予定日:2020年12月28日