暗号資産XRPが大幅続落=ビットコインなども追随
2020年12月24日 17時50分
暗号資産(仮想通貨)リップル(XRP)が大幅続落している。米証券取引委員会(SEC)が22日に証券取引法違反で運営元の米リップル・ラボと最高経営責任者(CEO)ら2人を提訴したことが嫌気され、投資家の買い持ち整理が続いている。この動きに追随する形で、影響は比較的軽微とみられていたビットコインや、他の暗号資産も軒並み下落、最近の相場上昇で戻りつつあった暗号資産への投資人気は、冷や水を浴びせられた格好だ。
日本時間24日午後5時現在、国内の主要暗号資産取引所のリップル相場は、1単位当たり27円前後と、直近24時間で約3割下げた。60円前後で推移していた週初との比較では半値以下になった。
代表格のビットコインも週初の250万円付近からは5%、イーサリアムは10%ほど、それぞれ値下がりしており、「アルトコイン」と呼ばれる、流動性や規模の小さい暗号資産は、さらに下落基調を鮮明にしている。
◇扱い取りやめに警戒感
XRP相場下落の背景には、SECのリップル提訴を受けて取り扱いをやめる取引所が相次ぎ、売買が制約されるのではないかという警戒感がある。日本では、フォビジャパンがウェブサイトで、XRPの「カバー先の状況」を理由に、同社が取引相手となる「販売所」サービスの一時停止(顧客同士が売買する「取引所」サービスは継続)を発表した。
加えて、米財務省など金融当局が23日、価格の安定をうたう「ステーブルコイン」と呼ばれる暗号資産について、運営事業者にリスク管理や金融システム安定の確保を義務付ける考えを示したことも、暗号資産の規制強化につながるとして、投資家の売りを誘っているようだ。
ビットフライヤーの金光碧トレジャリー部部長は「中央集権的構造を持たないビットコインと、リップルなど他の暗号資産との選別が進む可能性もある」と指摘する。
◇業者は「安値仕入れ」疑惑火消しに躍起
こうした中、SECの訴状が、日本の暗号資産業界に思わぬ余波を広げている。SECは、名前は伏せつつも「日本の業者がリップルから市場価格よりもXRPを安い値段で仕入れることができるインセンティブプログラムを提案されていた」と指摘。市場関係者は「特定の利害関係者に裏で安く売られていたとなれば、投資家に暗号資産がフェアではない印象を与えかねない」と危惧する。
業界関係者への取材で、リップルが日本の一部業者に対し、そうした割引提案を行っていたことは事実とみられるが、主要各社は、ウェブサイトやツイッターを通じ「当社ではそのようなプログラムは受け入れていない」(ビットフライヤー)「当社は一切関わりはない」(コインチェック)「プログラムおよびそれに類する内容の提案を受けたことはない」(GMOコイン)などとコメントし、火消しに躍起となっている。
リップルへ出資するなど関係の深いSBIホールディングス(HD)は、時事通信の取材に対し、「(インセンティブプログラムの)提案先が自社であるかどうかについては、申し上げる立場になく、コメントを控えたい」(広報担当者)と回答した。
SBIHDは24日、リップルのブラッド・ガーリングハウス最高経営責任者(CEO)のコメントの抄訳をウェブサイトに掲載した。同CEOは「私たちは法律だけではなく、歴史的にも正しい位置に立っている」「SECは暗号資産業界に対して全面攻撃を仕掛けてきている」と主張している。(了)
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