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堂島再建、SBI主導より鮮明に=ジャパンネクスト出資で―商先には危惧する声も

2020年12月11日 11時35分

大阪堂島商品取引所
時事

 大阪堂島商品取引所がSBIホールディングス<8473>主導で経営再建されることが、より鮮明になってきた。堂島商取は2021年4月1日付で株式会社に移行する予定だが、SBIに加えて、新たに系列のジャパンネクスト証券も出資することになり、SBI系の出資比率は3分の1超を占める見通しだ。ただ、一部の商品先物会社からは先行きについて「SBIによるデジタル化で堂島の取引が盛り上がりを見せたとしても、対面営業中心の商先業者との間には溝がある。われわれは太刀打ちできないのではないか」と危惧する声も漏れている。

 株式会社移行後の初代社長にはSBI顧問で前金融担当相の中塚一宏氏が就任予定。7日の臨時理事会で取締役候補として提示され、了承された。ジャパンネクストは私設取引所(PTS)の運営会社で、代表取締役にSBIの北尾吉孝社長が就いているほか、SBIグループが48.78%を出資し、主要株主になっている。

 一方、商品先物取引法は取引所の出資比率に関し、議決権ベースで20%以上、役員を出す場合は15%以上それぞれ取得してはならないと規定している。このため、堂島商取の出資比率はSBIが15%、ジャパンネクストが20%を超えないように設定される。

 だが、両社を合計すれば3分の1を超える見通し。これに関し、SBI関係者は「ジャパンネクストは連結子会社ではなく、持ち分法適用関連会社。問題はない」と指摘。堂島商取幹部も「法律には抵触しない」との認識を示している。

 SBIはかねて堂島商取について「コメの先物と現物に加え、その他コモディティーや金融銘柄も幅広く扱うグローバルな総合取引所を目指す」との方針を掲げる。ジャパンネクストの主要株主には、SBIグループのほか、米金融大手ゴールドマン・サックス・グループや米大手ヘッジファンドのバーチュ・ファイナンシャルも名を連ねる。

 証券関係者の間では「ジャパンネクストが堂島商取に出資することは、米金融大手も興味を持っていることの表れ」(ネット証券首脳)として、グローバル化への一歩と評価する向きもある。

 堂島商取にはSBIやジャパンネクストのほか、大手商品先物の豊トラスティ証券、岡安商事がともに15%を出資する予定だ。しかし、ほかの商先会社や米穀商など現在の会員で堂島商取の増資引き受けに前向きな会社は限られている。

 ある商先会社幹部はSBI主導で経営改革を進めることには賛成しながらも、「増資には応じない」と表明。商品先物は堂島商取のほか、日本取引所グループ(JPX)<8697>傘下の大阪取引所と東京商品取引所の計3カ所で取引されているため、「堂島商取の株式会社化を機に(堂島での)取引をやめるところも出てくるのではないか」と、厳しい見方を示している。(了)

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