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ドル高、新興国経済を圧迫も=リスクセンチメント反転で―BIS

2020年12月08日 11時28分

国際決済銀行(BIS)本部=スイス・バーゼル(EPA時事)
国際決済銀行(BIS)本部=スイス・バーゼル(EPA時事)

 【ロンドン・ロイター時事】国際決済銀行(BIS)は7日、ドル高が新興国の経済見通しを一段と圧迫するとの見方を示した。途上国が過去10年間でドル建て債を非常に多く発行してきたためだとしている。

 米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を過去最低の水準に引き下げたことを受けて、ドルは3月の高値から12%超下落している。しかしBISは、ドルが依然として大きく変動しやすいと指摘。リスクセンチメントが反転すればドルは上昇し、新興国の成長見通しを押し下げうると予想した。

 BISが1990年から2019年までの新興国21カ国のデータで調べたところ、ドルが通貨バスケットに対して1%上昇した場合、これらの国々の成長率見通しが0.3%低下することが分かった。

 今年の新型コロナウイルスの感染第1波でもそれは明らかで、1~3月期にドル指数(ドルの通貨バスケットに対する為替レート)が10%近く上昇。新興国市場からの資金流出が記録的な額となり、利回り格差が拡大した。

 BISは「新興市場経済(EME)はこれらのチャンネルを通じ、ドル相場の変化の影響を特に受けやすい。このためドルの全般的な為替レートはEME特有のリスク要因になっている」と説明した。

 新興国のドル建て債務の国内総生産(GDP)比は、08年の世界金融危機時(約3.5%)の3倍に相当する、10%近くに拡大している。また新興国の国内債券市場における外国人保有比率は20%に近い。(了)

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